第38回「学生にも傾向というものがあり」

榎本海月の連載

学生と学校

今回からは、学校という集団を構成するさまざまな人々の紹介をしていく。
まずは生徒だ。その学校にどんな生徒が通っているのかは、第一に「どんな学校なのか」が影響する。
もう少しわかりやすく整理しよう。
その学校が何を目的としているのか、は重要だ。公立の小学校や中学校、高校なのか、それとも私立なのか。大学なのか。あるいは各種の技術や職業と関連するいわゆる専門学校なのか。これによって学生の性質は大きく変わる。
ここからいろいろな学校とその中で推測しうる生徒の性質について紹介していくが、ポイントが一つ。これはあくまで傾向であって、あらゆる学校に適応できるとは限らない。また、学校にそのような傾向があったとしても、すべての生徒がそのような性質を持つとも、やっぱり限らないのである。
いやむしろ、大まかに傾向があるからこそ、そのような性質に反発し、あるいは自然と、正反対の性質を獲得・発現する生徒が存在するはずだ。人間というのは大体そのようなものなのである……と理解しておくと、キャラクターを作るにあたって大きな助けになるはずである。

土地が与える影響

公立の小学校あるいは中学校は義務教育であり、かつ「この地域で暮らしているからこの学校に通う」という性質のものだ。そのため、その地域の雰囲気が学生にダイレクトに反映される。高級住宅地なら高級住宅地なりの、下町なら下町なりの、都会なら都会なりの、そして田舎なら田舎なりの、生徒たちが集まってくる。これは学力や性格などにある程度反映されるものと考えた方がいいだろう。
さらにその地域の人間関係や力関係もしばしばダイレクトに子供達の関係に反映される。いわゆる企業城下町だったり、あるいは大きな社宅のある街だったりすると、上司の子が部下の子にプレッシャーをかけたりすることさえありうるわけだ。
私立の小学校から高校、公立でも高校になると、このような濃密な関係からはもう少し自由になる。なぜかというと、電車やバスなどを用いて遠くから通ってくるのがデフォルトだからだ。とはいえ、学校の数が少ないと結局選択肢が狭まって同じことになるかもしれないが……。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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