第36回「特別な学校の話……専門学校を中心に」

榎本海月の連載

全日制と夜間

前回までは小学校、中学校、高校、大学という一般的な学校を紹介してきた。しかし、現代日本における「学校」はもっと多種多様だ。何を学ぶのか、誰が学ぶのか、どう学ぶのかで実にさまざまな形式が存在するのである。
たとえば、「全日制」と「夜間」がある。前者は午前中から午後にかけて授業を行ういわゆる普通の学校であるのに対して、夕方から夜にかけて授業を行うのが後者だ。働きながら学校に通える制度であり、普通の学生と同年齢ではあるが生きるために働かざるを得なかったり、あるいは社会人として働きつつもかつてできなかった学習を求めているケースなどが見られる。

特殊な学科と専門学校

また、高校だと学科による違いもある。「普通科」が国語数学英語……と普通教育を行うのに対して、農業科、工業科、商業科……といった学科を設置している学校(「農業高校」「工業高校」「商業高校」など)では、普通教育も行いつつ専門教育に力を入れる。これらの学校を経験していると、普通は持っていないような資格(危険物取扱者などはその典型だろうか)を持っていて、思わぬ活躍をさせられるかもしれない。
同じように専門的な技術を学ぶための学校として、「専修学校」がある。高校卒業後に大学がそれとも……と選択する「専門学校」が有名だが、「高等専修学校」という中学卒業後に入る専修学校もある。
また、専門学校への入学を考える人の選択肢には、しばしば「各種学校」「無認可校」も入ってくる。授業内容は専門学校と似ているが、公からの扱いが違う。
なんにせよ、何らかの知識・技術を学びたい場合にはこれらの特殊な学校を考える人が多いだろうが、その内実は学校や分野によって全く違う。
卒業したらすぐに一人前で活躍できる学校もあれば、そこから事務所に所属したり独自でオーディションを受けたりしなければいけない学校もある。学校とはほとんど名ばかりで時間とお金ばかり空費するところだってもしかしたらあるかもしれない。
あなたのキャラクターは、何を求めてその学校に行き、実際何を得たのか。本項で紹介したような特別な学校を題材にするなら、特にその点は考えなければいけない。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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