『七都市物語』を読んで連作短編の面白さを味わおう

榎本秋のクリエイト忘備録

『銀河英雄伝説』の田中芳樹さんの連作短編に『七都市物語』という作品があります。
最近マンガ化もされたので知っている方もいるかと思います。

地軸が転倒した大災害で滅亡の危機に瀕した地球。月面に逃れた人々は7つの都市を地上に作った。
月面都市に残った人々は地球に降りた人々に対し、地上500メートル以上を飛ぶ飛行体すべてを攻撃するシステムを設置。しかし、そのシステムが動いている間に月面都市は滅んでしまう。
そして、人々は500メートル以上の空を使えないまま7つの都市が争い合う。
連載短編でメイン人物が変わりつつ、都市国家の攻防を描いていきます。

7つの都市はそれぞれの力が均衡になるように月面都市によってデザインされていて、
拮抗した中で軍人や戦略・戦術家により都市のバランスが崩れていきます
最終話で都市のバランスが完全に崩れたので、続編も読みたい作品です。

文庫1冊で主要人物のキャラクターを魅力的に描き、ありそうな未来像・政略・戦略も面白いです。
連作短編の勉強としてもぜひ読んでみてください。

榎本秋

榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。

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