第33回「中学校」

榎本海月の連載

守られるばかりではなく

主に13歳から15歳までを過ごす中学校は、義務教育の最後の3年間でもあり、また大人の世界への最初の扉と言っていいだろう。
もちろん、学校のあり方も大きく違う。家の近くに通っていたのに対し、もう少し遠く、自転車やバス、電車を使うこと。基本的に私服で通っていたが、制服が主になること。授業の内容もより高度になるし、テストの比重も高まる。学校にいる時間がグッと伸びるのも大きな特徴だろう。授業時間も増えるが、放課後は学校にとどまって部活や委員会活動などに勤しむことになるからだ。
文化祭や体育祭、あるいは生徒会などで学園自治に取り組むのも中学校以降ならではの部分が大きい。もはや守られっぱなしではなく、自分から行動することが求められてくるのが中学生という時期である。そのため、何かしらの悪事に対して停学・謹慎など処罰が下されることも出てくるだろう。私立の学校なら退学だってあり得る。

不安定な時期

そのような学校の仕組み以上に小学校と中学校を隔てるのは、通っている生徒たちの心身に起きた変化だーーそう言い切ってしまって構わないだろう。中学生は精神・肉体・社会的地位が劇的に変化を始める不安定な時期なのだ。
この時期、生徒たちは第二次性徴を迎える。人によっては大人並みの身体を持ち始めるし、精神的にもしばしば不安定になる。誰かを好きになって独占したくなったり、生理的な嫌悪感やどうしようもない怒りに突き動かされたり、そして何よりも「性の目覚め」もこの頃の生徒たちを襲う。未成熟な心身で暴走した結果、ドラマチックな恋が生まれることもあれば、悲劇的な別れが訪れてしまうことだってありうる。
人間関係が広がった結果としてそれまで出会わなかったタイプの人と出会うことになり、深い友情や尊敬、愛を覚えることもあれば、相容れない敵対関係を持ってしまうこともある。生涯追いかけることになる目標を見出すこともあれば、夢は持ったものの自分にはどうしようもないことであったりもする(夢と現実のギャップに苦しむことになるのは中学生の後期であったり、高校生になってからであったりする)。そして、夜の世界・悪の世界とつながってしまい、人生を持ち崩すことになる最初のきっかけを見出すこともあろう。
これらの出来事はドラマチックな物語に大いに適している。ライトノベルにおける青春ものといえば中学生と高校生、となる理由はまさにここにあるのだ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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