♠32回「怪獣災害の救済」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

既存災害のケースを参考に

さて、怪獣の類が暴れても法的に訴えられないとして、それでは被害者たちはどうしたら救われるのか。
もちろん、国家は可能な限り救済を試みてくれるはずだ(と信じなければやっていけない)。家を失った人を避難所に収容するだけでは彼らは救えない。生活を再建するためには金や仕事が必要だ。
東北大震災の時に与えられた支援が参考になるだろう。家族が死んだ場合は弔意金、怪我や病気では見舞金。また生活を再建するための援助金や貸付金などが状況に合わせて用意された。もちろん子供養育のための援助措置も多く用意されたし、税金であるとか社会保険料であるとか公共料金であるとかも免除されたり、猶予されたりした。
怪獣が暴れまわった後もこれらの措置がされるはずだ。本項執筆中の2020年前半も、リアルタイムで暴れまわる新型コロナ問題に対して、10万円の給付金が予定されている。
ただ、これも国家が健在であればこそだ。東京湾から上陸した怪獣が国会議事堂を吹っ飛ばしたらどうなるか? ついでに永田町と霞ヶ関も吹っ飛ばしたら? 一度機会があったらあの辺りをブラブラ歩いてみてほしいのだが、結構開けていていざとなれば自衛隊がずらりと戦車を並べて決戦を挑むこともできようが……しかし、怪獣の強さによってはどうにもならないこともある。
そんな時のために、一応バックアップを用意しているのが日本国である。『シン・ゴジラ』を見た人は、立川に非常用の施設が用意されていること覚えているだろう。内閣災害対策本部予備施設というやつで、都心が崩壊したならここで怪獣への対策、および災害後の政策を決めることになる。

保険は怪獣災害から人を救うか

公的な支援ばかりではない。民間での復興支援は期待できないか。
真っ先に思いつくのは保険だ。生命や家に保険をかけている人は珍しくないはずだが、残念ながら怪獣被害にはあまり役に立たない可能性がある。というのも、あまりにも大きすぎる被害は保険会社も払いようがないから、生命保険なら約款(契約書)に戦争などの変乱の時は払わないと書いてあるし、建物などの損害保険に至っては「そもそも怪獣用じゃないから払う条件を満たしてません」と言われて終わりだ。
ただ、もしあなたの物語世界がしょっちゅう怪獣被害に苦しめられているなら、保険会社も怪獣保険とか、火災保険に怪獣特約がつく可能性はあるが……。
また、寄付などの民間の支援は考えられる。近年はクラウドファンディングなどもあるので、状況次第では大きな助けが得られるかもしれない。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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