♠30回「賭博で儲ける道は険しい」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

イカサマで儲ける?

それでも儲けようと思ったら、もうイカサマ(ズル、チート)をするしかない。道具や機械を使うギャンブルはそこに仕掛けができるし、人間や生き物が走るタイプなら当人と手を組めれば勝率はぐっと高まる。手を組むといえばプレイヤー数人で手を組めれば勝てる確率が高まるゲームは多い(誰か一人に利益を集中させた場合、ちゃんと還元されるかが心配にはなる)。もっと言えば、胴元と一人だけ手を組んで、利益の一部を回してもらうのが一番いいのだが……。
もちろん、胴元もこの辺の事情はよく知っているから、イカサマは大いに警戒している。麻雀は手積みから機械積みになった(手積みだと仕込みやすい)し、ポーカーやブラックジャックのようなトランプを使うギャンブルではカードそのものを定期的に使い捨てにする。傷がついたりしたらそれを目印にイカサマが出来るからだ。また、競馬のような人間が行うギャンブルは先ほど紹介した通り手を組んでイカサマができるため、試合の前後は一定の場所に選手を閉じ込め、外部と連絡が取れないようにする。

胴元になるか、周辺商売か

イカサマなしにギャンブルで儲けたいなら、胴元になる、というのが一番の近道になる。何しろ還元率はなかなかのものだ。基本、胴元は儲かるものなのだ。もちろんちゃんと胴元が儲けられる仕組みはつくなければいけないし、イカサマ対策も必須だ。大きな公営ギャンブルはもうすでに先輩がたくさんいるし、法律もがんじがらめなので参入は簡単でない(そもそも現代日本で賭博は犯罪!)。法律の網目を縫うようなギャンブルが思いつけたら物語のネタになりそうだ。この辺り、漫画『こち亀』で両さんが似たようなことをしょっちゅうやっているので参考になるだろう。
そして、第三の選択肢がある。それはギャンブル周辺ビジネスで儲けることだ。ギャンブルはものすごい金が動く世界だから、そこで使われる道具、あるいはなんとか儲けたい人が必勝法を探しているのでそのアドバイスなどでも大きな金が注ぎ込まれる。ギャンブルと似た世界の話でも、「ゴールドラッシュの時代に一番儲けたのは金の採掘のための道具や衣服を売った人だ」とか「投資に挑戦してもクルーザーは買えないが投資で間に入る証券会社のマネージャーは買える」みたいな話がある。
結局、ギャンブルで勝つ秘訣は賭けない(イカサマか、胴元や関係者になるか)ということになってしまった。世知辛い話である。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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