第28回「物語の中の部活」

榎本海月の連載

学生の物語に目的を与える

あらためて、「物語の中の部活」はどんな存在か、を考えてみよう。
学生たちの物語に目的(強くなる、成果を残す、など)を与えるという点で、部活ほどシンプルでわかりやすいものはない。ライトノベルではあまり見ないが、漫画やアニメでは「スポーツもの」の主流ジャンルとして「部活もの」がある。
何故ライトノベルで余り見ないかと言うと「派手な展開がしにくいから」とされており、それを受けてか「ちょっと変な部活で頑張る」話は少なからず見られる。『学校の階段』はその代表であろう。
いや、スポーツ的な要素はなくとも、普通の学校には存在しない(あってもその性質が違う)変な部活で活動したり、トラブルに巻き込まれたりする話は、ライトノベルにおける大定番と言える。どんな部活が思いつくだろうか。あくまで現実の範疇で考えてもいいし、ファンタジックな世界に足を突っ込んでもいい。
面白いことに、「変な部活」は現実にもあって、投資したり商品制作をしたりしてお金を稼ぐ部活があったりする。ネット検索で調べてみるとネタが拾えるかもしれない。

出会う場所、深まる場所

もう一つ、すでに紹介したとおり部活は普段接点のない学生たちが出会い、縁を深める場所でもある。
学生の日常はある程度固定されたもので、クラスが違えばもちろん、学年が違えばさらに出会う機会は大いに減る。よその学年の教室に行くのはかなりハードルが高いものだからだ。また、先述したような大会や発表会を通して、別の学校の学生と出会う機会さえある。
単に出会うだけでなく、部室で長い時間を過ごせば、人間関係が深まり、普通だと見えてこないようなものが見えてくる可能性は高い。チームスポーツで一緒にプレイしたり、試合の対戦相手を務めるうちに感じ取れるものもあろう。有名人の先輩と一緒に過ごすことで見たくないものが見えたり、人好きのする後輩の裏の顔を知ったり、なんてこともありそうだ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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