♠26回「人を傷つけ、殺すことの罪」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

暴行罪、傷害罪、殺人罪

アクションやバトル展開では、人を殴り、蹴り、傷つけ、焼き、殺し、場合によっては消し去ってしまうことさえありうる。もしキャラクターがこれらの行為を行い、その事実を知られたなら、何らかの罪に問われるだろう。
アクションもの、バトルものでこの辺りの事情を丁寧に描きことはあまりない。爽快なバトルを書くときに「殴ったら懲役何年だから……」などと考えていたら筆も止まってしまう。そのため、物語上では工夫として「犯罪に問われないような状況設定」をすることが多い。つまり、敵が人間ではない(人間でないものを殺しても殺人罪にはならない)などだ。
他人を殴ったり蹴ったりすると、どんな罪になるのか……実は細かく別れる。まず、単に殴る蹴るでは「暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)」。結果として傷害(欠損するような肉体ダメージを指すことが多いようだ)を与えると「傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)」。その上で殺してしまうと「傷害致死罪(3年以上の有期懲役)」。単に死なせただけでなく、殺人の意思があったと認定されてしまうと「殺人罪(
死刑又は無期もしくは5年以上の懲役)」という具合だ。なお、具体的にどの犯罪にどんな罰がもたらされるかはケースバイケースだが、一般に「3人(あるいは4人)殺したら死刑」と言われる。

正当防衛

ただ、状況次第ではこれらの罪が軽くなる、あるいは免除となる可能性がある。一番ありえるのは正当防衛の成立で、「急迫不正の侵害」つまり相手側に非のある攻撃が降りかかってきたなら、自分または他人を守るために攻撃・反撃しても罪には問わない、ということになっているのだ。
しかし、正当防衛的行動であれば何をしてもいいというものではない。防衛の程度を超えた攻撃(襲われたとき反撃で相手を倒し、そこにとどめを刺す、など)の場合は過剰防衛が成立する可能性が高い。この場合でも情状酌量で罰がある程度免じられる可能性はあるが、正当防衛と違って無罪にはならないのだ。
情状酌量の余地は他にも色々なケースがある。一般に「やむを得ない事情、同情できる事情」による暴行・傷害・殺害は加害者側に有利になりがちで、普段からいじめられていたとか、身を守るつもりだったナイフでたまたま刺してしまったとか、クビにされたとか、裁判の中で素直に罪を認め反省している、などがそれだ。この逆に反省がないと見なされれば罰は重くなる。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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