昨年の消費税増税、今回のコロナ禍による書店の長期休業によって、出版業界は今後ますます苦しくなっていきます。
電子書籍が救世主になっている分野もあります。マンガやビジネス書などは電子書籍との棲み分けが上手くいっているように感じます。
一方、小説は厳しい道程が見えてきています。
ライトノベルに代表される文庫書き下ろし小説の初版部数が2万部だった20年前と比べ、今は6000、7000部というのも普通になってきています。
現在はこの初版を元に発行印税をいただけていますが、小説以外の分野のように一定の部数分のみ保証、残りは売り上げ印税などになる可能性もゼロではないと思います。
昔は500円の文庫で印税率10%、2万部だと100万円が入りました。
今は600円の文庫で印税率8%、6000部だと28万8000円です。
そういった出版業界の厳しい状況を鑑みるに、小説家専業で生活していくのは厳しいのかなと思います。
なので小説家志望の今から「定期収入のある仕事」と「小説を書く時間」をうまく両立させ、
かつ、長編を年に3冊ぐらいかけるペースを今から養っておくととても良いと思います。
また、できれば仕事も創作脳や近い能力を使う
・シナリオライター
・ゲーム関連
・校正
・編集
などではない仕事がおすすめです。
これは「ライトノベルの編集者になるにはどうしたらいい?」も併せてお読みいただけると嬉しいです。
出版関連職だと取材ライターはありです。取材を元に記事をまとめるので、創作力とは違う頭を使うためです。
とはいえ、書くのに時間がかかるようなら考え物ではありますが。
皆様の参考になれば嬉しいです。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。