♠22回「手当① 応急手当の基本」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

人が倒れたら?

目の前で人が倒れた時、あなたのキャラクターはどんな対応をするだろうか。面倒が嫌だから見なかったことにしたり、混乱困惑して何もできない、というのもある種人間らしい振る舞いと言える。しかし、標準的な親切さとそれなりの機転を持っているキャラクターなら、放置はしないはずだ。さっと近寄って応急手当をしようとするのが「普通」なキャラクターは多いだろう。

応急手当の手順

具体的な応急手当の手順を確認しよう。まず第一には周囲を見回し、倒れた人や自分、あるいはそれ以外の人が安全な状況か、そうでないかを確認する必要がある。災害や事故などの場合、応急手当をしているどころではないケースがあり得るからだ。例えば周囲の人たちと協力して倒れた人を近くの建物などに連れ込んで安全を確保することになるだろう。
次にやることは意識の確認だ。「大丈夫ですか」「意識はありますか」と問いかける。これで返事があったら致命的なダメージではない可能性が高まる。もともと持病のある人なら「頓服薬があるから飲ませてくれ」という方向になるだろうし、真夏の日向なら熱中症や脱水症状で倒れたという可能性が高く、体を冷やして水を飲ませるのが一番だ。返事がなければ次の対応が必要になる。
ここからやらなければいけないことが多くなるので、一人では手が回らない。大声で「助けてください」「手伝ってください」と声を上げる。
そうして集まった中に応急手当の講習を受けたことがある人などがいれば任せてもいいが、そうでなければ引き続き主導権を握ることになる。ここで頼める作業としては、119番(消防署)に通報して現場でやるべきことの指示と救急車の派遣を求めること、そしてまたAED(電気ショックによって心臓を動かす機械。街中のあちこちに設置してある)を探して持ってきてもらうことだ。救急車あるいはAEDが来ればできることが変わるが、それまでは対処が必要になる。
多くの場合、119番からの指示をうけて心肺蘇生法を行うことになるだろう。まずは胸と腹を見、ちゃんと呼吸をしているか、途切れ途切れでないかを確認する。この様子が普通でなければ心停止ということで、心臓マッサージと人工呼吸が必要になる。
胸骨を圧迫する心臓マッサージを30回、マウストゥマウスによる人工呼吸を2回、の繰り返しだ。これを救急車が来るまで続ける(人手があれば交代で行える)ことで、生存率はグッとあがるという。この時、人工呼吸は不可能なら省略しても良いこと、また胸骨の圧迫はしばしばやりすぎて肋骨を折ってしまうことが知られている。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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