第21回「十一月、修学旅行のシーズン」

榎本海月の連載

冬の匂いがする季節

十一月にもなるといよいよ秋が深まってくる……ただ、そろそろ冬の匂いもしてくる。赤々と染まった広葉樹の葉が地に落ちて、気温もいよいよ下がり、豊かだった秋の終わりが物悲しさを連れてくる。そんな季節だろうか。
 学生にとっては引き続き体育祭(運動会)、学園祭(学芸会)・修学旅行などのイベントごとが詰め込まれている時期であったり、あるいは学校・学年によっては「受験も近いから特別なイベントはおかず、学業に集中してほしい」という配慮がされているかもしれない。

修学旅行の事情は学校次第

ここでは本連載においてまだ紹介できていない最後の特別なイベント、「修学旅行」について紹介したい。「移動教室」あるいは「研修旅行」などと呼ばれたりもするが、本質的には同じものと考えていいだろう。
これは文字通り「学を修めるための旅行」であって、学年ごとに(あるいは学校全体で)旅行を行い、その中で学業のために、人生のために必要なものを学ぶ――というわけだが、多くの場合学生たちにとっては観光地を巡って、買い物をして、友達とおしゃべりしながら街を歩いて、の「ただの旅行」になるはずだ。ただ、学校によっては現地の同種学校と交流して刺激を受けたり、将来的な職業に関係する場所の見学を行うなど、学業と深く結びつくこともある。
修学旅行の行き先はそれぞれだ。大定番は京都。古い神社や寺院があちこちにあるだけに、歴史・伝統を感じ取ってほしいという思いが感じられる。これに加えて日本の中心というべき東京、あるいは日本の他の地域では見られない特徴を持つ北海道あたりが特に修学旅行の行き先として選ばれやすい。
もちろんこれは学校のある地域や学校の性質によっても大きく左右され、たとえば東京の学校は東京には行かないし、京都の学校は京都には行かない。ただ、北海道の学校は北海道の別生きに行くことはあるかもしれない……北海道は広いからだ。また、学校や生徒の過程に資金的余裕が十分な学校などでは、海外に行くケースも珍らしくない。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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