♠20回「雪害を甘く見てはいけない!」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

雪がもたらすさまざまなトラブル

「雪害」。ちょっと聞き覚えがない言葉かもしれない。文字通り「雪による災害」だ。日本列島は温帯に位置するが、縦に長いため、北海道から東北、中部にかけての地域では冬になると大いに雪が降って、これに起因する事故もしばしば起きる。
雪害による死者の多くは、除雪中の事故によるものであるという。雪がたくさん降る地域では時に人の背を超えるほどの積雪があり、これを放置すると建物が潰れたり、道を通行できなくなったりする。
そのため毎日のように雪下ろし、雪かきが必要になるわけだが、屋根で作業中に転落する、落とした雪が人に当たる、雪を落として溶かす水路などへ落ちる(冷たいので場合によっては人が死ぬ!)、ということが十分にあるのだ。ちょっとした危険作業であるという注意が必要で、高齢化した地域などでは特に問題視されている。
また、雪や氷は通行者や乗り物にとっても非常に危険な存在だ。路面・地面が凍結していれば滑って交通事故、転倒事故が起きてしまうのである。雪国では地面を熱するロードヒーティングでこれらの問題に対処しているが、それでも全体をカバーすることはできず、しばしば事故が起きる。そのため、車のタイヤや靴の選択に気をつける必要があるし、歩き方についても「歩幅は小さく、体重を靴の裏面全部にかける」など独特の歩法がある。
最も致命的な雪害は雪崩であろう。斜面を崩れ落ちるときの雪崩は洪水にも似て流れ、スピードも凄まじく人間が徒歩で逃れるのは困難だ。だが、雪崩が収まったあとの雪はあたかも個体のように振る舞い、かつ完全に埋もれてしまうと人間がどこにいるのかわからない。雪崩の兆候を見て危険なところには近づかないこと、また大きな音のような誘発する要素を取り除くのがよいだろう。

雪国の住人なら当たり前でも

雪崩はともかく、他の雪害に対しての生活ノウハウは、多雪地帯の住人ならごく当たり前に備えているものだが、雪があまりふらない地域に住んでいるとなかなか身につかない。雪が降っていても平然と歩く北海道人と、おっかなびっくりの東京人、というのはそれだけでキャラ立てになる。
また、ほとんど降らない地域でたまに降ると各種の対策がなされていない(公共交通機関や道路の雪対策、そして住人の生活ノウハウの不足)がため、数センチの積雪でも十分に雪害が起こる可能性がある。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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