夏休みが明けて変わるものは?
一般に、日本の学校は九月から二学期が始まる。夏休み明け、久しぶりに会ったクラスメートや先輩、後輩はどう変わっているのか、あるいはどう変わっていないのか。自分自身はどうなのか。
日焼けだったり、ファッションセンスが変わったりと外見的にガラッと変わってしまう人もいるだろうし、食べ物や遊びの趣味が変わる人もいるだろうし、新しい人間関係ができている人もいるだろう。大きな事件、衝撃的な経験の結果として、人が変わったように性格が変わっている――と見えて、実はそんな封に装ったり思い込んだりしているだけで、すぐに化けの皮が剥がれるなんてこともあろう。
一度深まった関係がリセットされてしまうのかもしれない。劇的に変わってしまった相手に戸惑うのかもしれない。夏休み中に成長した能力や経験によって、夏休み前にできなかったことができるのかもしれない(そのせいでむしろ距離を置かれてしまう、なんてこともあるだろう)。
夏の残り香
夏の残り香がまだ残っている――そんなケースもあるだろう。何しろ、日本の九月はまだまだ暑い。残暑のあるうちは、夏はまだ終わっていない、とも言えるかもしれない。
夏の残り物で一番でかいのは、夏休みの宿題だ。八月中に終わらせる人もいれば、九月の提出が求められる時間までにあればいいんだと開き直る人もいて、出さずに逃げ切ろうとする人もいる。教師側も諦めて許してしまう人もいれば、居残りさせてなんとか完成させようとする人もいるだろう。
また、九月は転校生がやってくるタイミングとしてもふさわしい。二学期という一段落のタイミングだし、海外は九月から新学年のスタートだからだ。そうして現れた転校生は、夏の持っていた特別な雰囲気を感じさせる人もかもしれない……。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。