♠17回「噴火は時に歴史を変える?」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

火砕流や土石流、そして噴石の恐ろしさ

 火事や地震、津波といったここまで紹介した災害に比べると、噴火は比較的レアな、遭遇する機会の少ない災害といえるかもしれない。しかし、日本は世界有数の火山列島で、国内にいくつもの火山を抱えている。歴史に残るような巨大噴火もいくつか知られているし、鹿児島の桜島は噴火しているのが当然であるとさえいう。最近で二〇一四年に発生した御嶽山噴火で、死者・行方不明者が六十人を超えたのは記憶に新しいところだろう。
噴火は何が恐ろしいのか。最も劇的な被害をもたらしうるのは火砕流(数百度を超える熱を持った空気や灰、岩などが流れ込む。時速百キロを超え、時に広範囲を飲み込む)や溶岩流(マグマが流れ出す)であろう。また、土石流も噴火をきっかけに起こることがある。これらに飲み込まれれば命はない。
また、噴火すればその爆発のエネルギーが噴石を飛ばしてくることがある。大きいものなら五十センチ以上で、莫大な運動エネルギーが載っているため人が当たればあっけなく死ぬし、建物に当たれば屋根を突き破って室内へ落ちてくることだろう。
噴火口近くなどでは火山ガスも怖い。水蒸気以外にも二酸化硫黄や硫化水素などが含まれていて、吸い込めば最悪の場合は死に至るからだ。

冬を呼ぶ灰

ここまでに紹介したような被害は噴火口や火山周辺で発生するものだが、もっと広範囲に被害をもたらす問題もある。それが火山灰だ。時に数百キロにもわたって飛び散るこの細かい灰は、単に積もって汚くするというだけにとどまらない。吸えば呼吸器に被害が出て、目にも傷をつけ、自動車や飛行機など乗り物の運行にも障害をもたらす。特に恐ろしいのは、水に濡れると電気を通す性質から、機械を壊す可能性があることだ。
噴火と灰の影響は、自然の流れさえ変えることがある。巨大噴火が空中に凄まじい量の灰を撒き散らした結果、太陽の光を遮り、時には世界的なレベルで気温を下げてしまうのだ。こうなると植物の成長が止まり、それを食べて生きる動物の数も減る。いわゆる「核の冬」と同じ現象である。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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