♠16回「津波洪水の恐ろしさ」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

「tsunami」は世界共通語

日本は海に囲まれた国であり、また川が多く水の豊富な国であるから、水害にあいやすい。川が氾濫して下流を押し流す洪水、地震などが原因で押し寄せた波が陸上に大きな被害をもたらす津波などがそれだ。
特に津波については、「tsunami」が世界的な言葉になっているあたりからも日本との深い関わりがわかる。また、2011年の東北大震災での大津波が記憶に新しい人もまだまだいるだろう。

とにかく逃げろ!

津波や洪水に遭遇してしまったとき、どう対応するのが最も賢い振る舞いと言えるのか。それは、「高台へ逃げる」だ。山や丘に登るのが最も良いが、都市部ではビルの上の階へ登ることになるだろう。ごく当たり前のことに思えるが、簡単ではない。
溢れた水は早い。東北大震災では地上を時速30キロで走るケースもあったという。これでは徒歩で逃げるのは非常に困難になる。また、津波が川を逆流したり、地形の関係で海側とは違う方向から水が流れてくることもあって、逃げるのを難しくしている。
また、水は液体だからちょっとくらい流れてきても移動はできる、と思うかもしれない。しかしそうはいかない。30センチくらいの水量だと膝にも及ばないから歩けそうだが、実際にはこのくらいでも流れがあると歩行が非常に困難になる。さらに50センチの水量となれば大人でも簡単に流される。
水の圧力というのは大変なもので、水没した車はドアを開けるのが難しくなる(圧力で押されるから)ことからわかる。
それ以上となれば、水はさらに危険になる。車や瓦礫など、巨大な物体を押し流して、物理的なダメージが発生するようになるからだ。このレベルの水害に巻き込まれてしまうと生存は非常に難しくなる。
そのため、水害からはとにかく逃げる、というのが第一の選択肢になる。東北地方ではここからしばしば「津波てんでんこ」という言葉が言い伝えられている。津波が来たらてんでバラバラに逃げろ、家族や老人を救おうとするな、という話で、一見して残酷に見えるが、そうしないと自分の命さえ危うくなるのだという教えである。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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