第15回「五月は関係が深まったり心が折れたり」

榎本海月の連載

ゴールデンウィークで見えてくるもの

五月は晩春から初夏、まだ梅雨も来ておらず程よく涼しい、非常に過ごしやすい時期だ。
それもあってか、新しい環境に慣れてきたということなのか、この時期はコミュニケーションが増えて学生たちの距離が縮まり、関係が深まる。恋の花が咲くかもしれないし、逆に決定的な亀裂が生まれるかもしれない。友人グループがそろそろできてきたり、尊敬できる上級生と出会ったり、見どころのある下級生を見出したり。そんなイベントに相応しい時期と言える。学校側が数日間の移動教室や宿泊込みのオリエンテーションなどをこの時期に持ってきて、より関係性が深まるように仕向けることもあるかもしれない。
五月初頭のゴールデンウィークはそのような関係性が生まれ、深まるのに最高だ。友達とどこかへでかけたり、部活で長く苦しいトレーニングをともにしたりすれば、また生まれる関係があるというものだ。
学校のイベントとしては、中学高校ならこのくらいの時期に中間試験が待っている。二年生や三年生ならもう慣れたものだが、一年生にとっては学校で翻弄されているうちに始まってしまうからいよいよ混乱する、ということもあるだろう。

どうして五月に五月病?

五月に起きる大問題といえば、「五月病」がある。新人サラリーマンなどでも起きるが、特に学生につきものだ。つまり、気力の減退など微妙な体調不良によって学業に打ち込めなくなったり、学校にいけなくなったりしまうケースだ。病とは言うが医学的な意味での病気とは少々いい難い。どうしてこんな事が起きるのか。
四月に新しい環境に入っていった学生たちにとって、最初の一ヶ月は学ぶことが多く、気も張っていて、気力が衰えたなどと言っている暇はない。案となれば知ることが多くて楽しい、と自己認識しているケースも多いだろう。
しかし自覚できなくとも負担は負担だ。やがて無意識のうちに限界を超えれば、何もできなくなる――ということで、五月病患者の出来上がりだ。どうしてそれが五月に起きるのかといえば、五月というのがちょうど無意識のパンクが起きやすいタイミングなのと、ゴールデンウィークで一度気が抜けて無理が効かなくなる、ということがあるようだ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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