小説家デビューするためにはいくつかの方法があります。
1)独学で新人賞に応募しまくる
2)WEBで話題になってスカウトされる
3)コネを利用してデビューする
4)カルチャースクールに通う
5)作家協会などの団体が行っているスクールに通う
6)専門学校の小説系学科にいく
7)大学の小説系学科に行く
8)WEB上の動画や通信添削、オンラインサロンなどで学ぶ
9)創作ノウハウ本を読む
大きく分けると上記の9つになるかと思います。
今はライトノベル系を中心に、賞に応募すると講評シートを貰える賞も増えてきました。
なので①だけでも、または①で指摘されたことに対して、⑧や⑨で補完していくというやり方がコストの面ではよいかなと思います。
時間があれば専門学校に行くのも手です。
その際は学校法人で、2年間勉強すると短大卒と同程度の学歴が得られる学校、かつ就職指導もきちんとしている学校を選ぶのもありです。
2年間でデビューするのは難しいので、卒業後も頑張る必要があります。また、奨学金を借りることもあるでしょうから、その返済を考えると就職サポート・就職指導がしっかりしていると安心ですね。
大学の小説系学科も専門学校と近い部分がありますが、規模が大きいのと授業選択の幅が広い部分などもあって、専門学校ほどきめ細かいフォローが受けられない可能性があります。
一方、スケールメリットで受講できる授業の数も多いですし、部活やサークル活動なども楽しいので創作の糧になると思います。
ここで基本の話に戻るのですが「小説家デビューをして本が出ること」と「小説家として収入を得て生活していくこと」は全く違います。
小説家である程度の収入を得て、それを一生涯続けていくことはとても大変です。
また、よほどの幸運がないかぎりデビューしてすぐに小説だけで生活するのは難しいです。
そのため、私としては兼業で仕事をしながら小説家を目指し、デビューした後も兼業で書いていくのを強く勧めています。
つまりは兼業をできるくらい時間の使い方がうまくなってほしいし、学生さんは今のうちに本をはじめとするメディア創造物と出会い、インプットをしてほしいと思っております。
私が所属している日本児童文学者協会は積極的に作家育成を行っていて、講座もとても充実しています。
社会人で作家を目指す方はカルチャースクールや作家協会の行っているあまり費用が高くない講座をまず受講し、自分の頑張りを考えてから他の通信添削や社会人向け講座を考えてみるのも手だと思います。
費用の高い講座はその分丁寧な添削やサポートなどがあることが多いですが、それが自分に使いこなせるかかも大事ですよね。作品を出さなければ添削は受けられません。
専門学校・大学・コネ以外の手段はそれほど費用もかからないので、まずいろいろと試して自分に合う方法を探すと良いでしょう。
ちなみに、専門学校で1から勉強する場合は、専門学校2年間と卒業後にもコンスタントに兼業で頑張って2年くらいの計4年は考えた方がいいと思います。
社会人の方は5~10年くらいの長期スパンで。昼間のお仕事を大事にしながらうまく時間を作って挑戦するのがいいかなと。
デビューした後も兼業が続くので、自分なりのリズムを作ることが大事です。
なお、出版不況が進んできた現在、コネはほぼ諦めてください。
コネのための時間や手間を作るなら教本などをしっかり読んで作品をつくり、応募するのが結果的に近道です。
2020年になりWEB発の小説ブームも落ち着きを見せてきて、改めて次の10年のトレンドを決める時期になっています。
これから小説家を目指す皆さんにはいたずらにトレンドを追わず、自分が小説を書きたいと思った理由と、どういう読者に届けたいかを念頭に置いて頑張ってほしいと思います。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。