第9回「学食」

榎本海月の連載

学食の事情

 さてお昼だ授業も一段落だとなったら、何をしようか。友達とのおしゃべりもいいが、育ち盛りの学生たちはまずお昼ごはんを食べなければ我慢できない。
 小学校や中学校ならたいてい教室で給食の準備だが、高校以上になると普通、各自で食事を摂ることを求められる。親がもたせてくれたりコンビニで買ったりした弁当を教室で食べるものもいるだろう。大学や専門学校なら外へ食べに行くケースも多い。
 そんな中で、かなりの割合の生徒が選ぶ選択肢に、学校の中にある学生食堂(学食)で食べる、がある。多くの学校に学食が設置されており、特に大学のような大きなキャンパスを持つ学校では複数の学食が存在していたり、あるいはフードコートのようになっていることも珍しくない。
 学食は学校に委託された業者が運営している。補助費が入っている分、外で食べるよりも値段が安く、かつ若者向けに量も多いし味が濃い、などということが多いだろうか。先生方が毎日食べると太るかもしれない。新しい学校を中心にチェーン店やファーストフードが入っていることも多く、そこの味はもちろん外で食べるのと同じ味だ。都会の大学などでは一流の店がはいっていたり、外から食べに来るような評判の味になっているケースもあったりする。
 あるいは購買部や自動販売機でパンやインスタントラーメンだけが売っていて、それを座って食べられる空間が実質的な学食として機能している、というのもいかにもありそうだ。

騒がしい場所、憩いの場所

 昼時の学食は非常に騒がしい場所だ。皆が時間内に食事を済ませなければいけないからしばしば押すな押すなの大混雑になるし、またみんな食べながらぺちゃくちゃとおしゃべりに夢中になるから、どうしてもうるさい。学食の中が混雑しすぎて、トレイに載せた料理を持って外で食べる人もいるかもしれない。
 もっと特別なイベントがあったら、さらに騒がしくなるだろう。10食限定のパンを求めて生徒たちが競争になるとか、裏メニューの噂が流れるとか、そんな事が起きても面白い。
 これを裁く運営側の人物にも注目したい。いわゆる「学食のおばちゃん」は学生たちと顔を合わせる機会も多く、また日々大量な仕事をこなしているからパワフルなイメージがつきもので、なかなか魅力的なキャラクターになるだろう。長年学校に勤めているので、昔のことも知っているかもしれない。小学校でも給食センターから料理が運ばれるのではなく、給食室を自前で持っている学校なら、「給食のおばちゃん」がいて似たような存在になれる。
 学食は憩いの場だ。昼時はともかく、それ以外の時間ならまったりと飲み物を飲んだり、くつろいだりしている学生を見ることができるだろう。クラスや学年が違う学生たち、あるいは部外者や教師が集まってきて、何かの計画を立てていることさえあるかもしれない。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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