以前新人賞でいいところまでいった原稿にどこまで執着するかという記事を書きました。
こちらの記事も皆さんはとても興味があったようです。この件についてもう少しお話していきますね。
私の基本的スタンスとしては、
プロとして小説家で収入を得て生活していくにはたくさんの作品を書かなければならない。
なので、作家志望の間に1つの作品に固執しないでたくさん作品を応募したほうがよい。
です。
プロ小説家として小説家で生活していきたいのではなく、兼業小説家としてこだわった作品を書いていきたいというひとは1つの作品に絞ってもよいと思います。
今は編集者さんも普通に検索をしているので、同じ作品が各公募に残っていると、この人は新しいのが作れない人かなと思われてしまう場合もありますし。
そもそも、プロになったら自分の書きたいものだけを書けるわけでもありません。
これらのことから、落選原稿は自分の引き出しとして保存しておき、プロになったあとに編集者さんにお見せするのがよいと私は思っています。
ただし、これはあくまで一次選考を通過した作品に限ります。通過していない作品は直して一次選考通過レベルまで持っていきましょう。
中にはアイデアだけ抽出し、新しい作品に活かすことも考えた方がいいです。直し方がわからない場合はご検討ください。
時間が経てば自分の作品でも客観的に見れるでしょうから、これも訓練だと思ってしっかり判断しましょう。
直し方がわかっても今の自分の実力で難しいと思った場合は一旦眠らせてください。追々修正ができるようになるかもしれません。
商業作家になるとプロット100本作って全部ボツのことも、プロットが通って執筆したのに原稿が上がったら全ボツということもあります。
今のうちからメンタルを強くして、評価が合わなかったら次の機会を待つぐらいの気持ちにしていくといいなぁと思います。
昨今、出版業界が厳しくなったこともあり、新人賞を受賞してデビューしても売れないとすぐ仕事がなくなります。
今のうちからレベルの高い原稿を貯めておくと、どこでどんなチャンス・時流の変化があるかもわかりません。
ぜひ、一作一作しっかりと仕上げた上で、ストックを増やしていってほしいと思います。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。