♠8回「武器が必要になったなら……(5)」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

乗り物こそ最強の武器!?

現代日本においては、実に意外なものが最強の武器になることがある。それは各種の乗り物だ。極端なことを言えば、歴戦の兵士が振り下ろす剣の一撃よりも、十分に加速した車による体当たりの方が強烈な衝撃と威力を持っているに決まっている。バイクもこれに準ずるが、重くて速い乗り物の方がより威力が高い。
……となると、現代社会で「強い」武器となると、電車はかなりのランクに上がってきそうだ。もちろん、電車は線路の上しか走らないから、狙って当てるのは難しい。どうにかして相手を線路上におびき寄せられないだろうか? 人間相手に使っていい手段ではないが、どうしようもない怪物相手なら一考の余地があるかもしれない。この発想の極致が映画「シンゴジラ」の「無人新幹線爆弾」「無人在来線爆弾」であろう。

防具にもちゃんと目配りを

戦うための道具ということを考えれば、武器だけでなく防具も欲しい。
防具の歴史というと古くは布や皮、それが金属を使って守りをガッチリ固めた防具の歴史が続いたが、銃の登場によって意味合いが薄くなって兵士たちは鎧ではなく身のこなし重視の軍服を着るようになった。しかし近年はまた技術の発展で防具の価値が高まり、防弾や防刃性能を持ったボディアーマー、ジャケット、コートがある。
軍用のものになるとやはり入手が難しくなるが、防弾ジャケットや防刃コートくらいなら市販でも普通に手に入る。警察の機動隊が身につける防具もこれに近いもので、乱闘の中でも、あるいは銃撃や投石からでも彼らを守ってくれる。ちなみに、機動隊の盾といえば昔はジェラルミン製だったが、近年は半透明のポリカーボネート製のものになっている。
もっと手軽なのはスポーツ用の防具だ。剣道用、ホッケー用、アメフト用の防具などは喧嘩程度なら十分体を守る役に立つ。
馬鹿にできないのは危険な場所で働く人々のための作業着である。頭を守るヘルメット、胴体を守るジャケットや脚を守るズボン(パンツ)、足を守る安全靴。これらは強靭な繊維やプラスチック、金属プレートなどで強化されており、危険な事故から作業員たちを守ってくれる。ということは、攻撃から身を守るのにもある程度役に立つということだ。安全靴などは蹴りの威力を倍加する効果さえある。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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