第8回「特殊な教室」

榎本海月の連載

音楽、図工、理科……

 特別な施設が必要な授業は体育ばかりではない。小学校~高校なら音楽や図工、理科実験あたりが定番だろう。これらの授業を行うには特別な施設がなければ危険あるいはそもそも実行不能なので、多くの学校には音楽室、図工室、理科実験室などが設置されている。
 音楽室なら楽器、図工室ならノコギリや糸鋸のような工具、理科実験室なら実験器具や薬品などのような道具が置かれているが、危険なものや貴重なものの場合は「●●準備室」として別にもう一室用意されていることが多い。また、そのような器具・道具類だけでは授業は行えない。授業内容に合わせて、特別な消火設備だったり、防音加工なりがされているのが一般的だ。
 また、これらの教室は学校の怪談における定番ポイントでもある。何しろ特別な場所であるし、危険だったり奇妙だったりする物が置いてあるので、子どもたちの恐怖や好奇心、想像力を刺激しやすいのだ。かくして、音楽室にかかっている音楽家の肖像画が喋りだしたり、人体モデルや標本、骨格のレプリカが動き出したりするわけだ。なお、あれらのアイテムはわりと高価なので、物語の中で壊すような展開にする時はそのあたりにも注目すると面白くなるかもしれない。

その他の施設、いろいろ

 特殊な教室は他にもある。一昔前なら、パソコンは特別な教室にひとクラス分まとめて設置してあって、専門の授業を行う際に出かける、というのが当たり前だった。パソコンは高価でかつすぐに旧式化する機材だから今でもその様になっている学校は多いが、一方で全校生徒がタブレットパソコンを支給される学校の話もけっこう聞くようになったのもまた事実である。
 そして、学校そのものが特殊なら、特殊な教室・設備がもっと多い、あるいは「そっちのほうがよく授業を行う場所」であることも多いだろう。
 農業高校には広い畑や森林、家畜を飼育する設備、また小さな食品加工工場などもあるし、工業高校なら図工室など比べ物にならない広さと工具が揃った加工設備があって当然だ。競馬やボートレースなどの選手を育成する学校ならレース場がなければ話にならないし、体を鍛えたり道具を整備したりする場所も必要になる。
 もちろん、もっとファンタジックな学校なら、ファンタジックな設備、教室があることだろう。たとえば、魔法を学ぶ学校なら、危険な魔法を安全に使うための設備は絶対にあるはずだ。もしないならよほどに特別な事情があるのだろう。こんなふうに、「あなたの学校には何があるか」を考えてみてほしい。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

タイトルとURLをコピーしました