小説家志望の人によく言っていることがあります。
それは「できないことを数えない」です。
あれができない、これもできないと数えていくと気が滅入るだけです。
実際に、
・恋愛が苦手
・バトルシーンが書けない
・学校の人間関係が書けない
という作家志望の人がいたとします。
現状、ライトノベルで作家になろうと思うと上記は致命的です。
ですが、別に小説はライトノベルだけではありません。
上記の苦手ポイントはポイントして認め、逆に自分はなにが得意で、何が書けるんだろうということを考えていけばいいのです。
昨今、小説エンターティメントは非常に幅が広くなっていて、内包する読者ターゲットも多彩になっています。
ですので、「できない」と思うのではなく、自分はどうしたら面白い長編が書けて、それはどんな人が喜んでくれるのだろうと考えましょう。
自分と共感してくれる読者を探し、そこに向けて執筆をするのがよいと思うのです。
そして、人生を続けていくうちに意外と苦手なこともできるようになっていくものです。
自分の話で恐縮ですが、私は吃音があり人前で話すのは苦手でした。しかし13年講師をやっているうちに人前で話せるようになりました。
また、作家をしている時は「あなたは話していると面白いのに文章になるとわからなくなる」と言われました。
そこで
1)はじめにテープに吹き込む
2)それを聞きながら簡潔にまとめる
3)わからなくならないように文章を短くする
ということを気をつけたら、なんとか作家としてやっていくことができました。
できないことは気にしすぎないで、どうしたら前を向いていけるかに時間を使うのがよいと思います。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。