運動するための場所
教室ではできない授業がある。その代表は体育だ。ストレッチやスポーツを通して体の動かし方を学び、運動習慣をつけるためには、教室はあまりにも狭すぎるからだ。
小学校〜高校なら普通グラウンド(校庭)がある。土のグラウンドが広がっている学校もあれば、狭いがクレー舗装といって何種類かの材料をローラーで押し固めた舗装(しばしば緑色をしている)を施されているところもある。その他の専門学校では性質により有無、広さはさまざまであろう。また、グラウンドの近辺には別の施設がある学校も多いだろう。花壇や畑、百葉箱などだ。
グラウンドでは陸上競技やサッカー、野球など、広い空間を有効に使うスポーツが主に行われる。しかし、卓球のように室内以外ではやりにくいスポーツもあるし、何より雨が降ってしまうとどうにもならない。そこで、大抵の学校はグラウンドだけでなく体育館も備えている。
放課後になるとグラウンド・体育館ともに部活動の舞台になる。どのクラブもたっぷり広く使いたいだろうが、それだけの空間を持つ学校は滅多にない。そこで、曜日や時間ごとに住み分け、また限りのある空間を割って共存することになる。
しかしボールが別の部活の縄張りに飛んでいってしまったり、あるいは縄張りをよこせ嫌だなどの小競り合いが発生する可能性もある。大会優勝などの実績を上げた部活はより多くの時間と場所を要求するだろうし、その交渉の裏で何かのトラブルが起きるかもしれない……。
広々としているからこその活用
グラウンドや体育館は体育系授業を行うための場所だが、それだけではない。
昼休みになると、元気な学生たちがグラウンドへ出かけて行ってボール遊びに興じる姿がよく見られる。
朝礼や何かの全体集会、入学式や卒業式、運動会や学芸会、何かの発表会などの全校生徒が集まる各種イベントは、基本的にグラウンドか体育館のどちらかで行われる。全校生徒が収容できる場所など他にないから当然だ。
いや学校どころか、地域全体で見てもこれほどの空間はなかなかない。結果、学校を含む地域に何かしらの自然災害や事件起きた時に避難場所となるのもグラウンドあるいは体育館だ。短期で終わる災害ならいいが、長期的災害だと人々は何ヶ月も体育館で暮らすことになり、生徒たちも使えなくなる。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。