♠4回「武器が必要になったなら……(1)」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

武器が必要だ!

ゾンビが出た。悪魔に追われている。不良の軍団に呼び出されている。誘拐されたあの子を助けなければいけない。理由はともかく、戦いに迫られた時、あなたのキャラクターは徒手空拳で挑むだろうか? 
不思議な力でコスチュームと武器がセットで現れたり、手から炎が噴き出したり、バックアップ組織があれこれ用意してくれるキャラクターならそれでいい。だが、そうでないなら?
準備の時間があるなら、多くのキャラクターは武装を整えようとするのではないか。しかし、ファンタジー世界ならともかく、現代日本では手に入る武器にも、使いこなせる武器にも、限度がある。
そこで今回からは、「現代日本で武器を調達しなければいけなくなったら」というテーマで考えてみよう。

現代日本における武器の要素

最初に軽く前置きをしておこう。
武器は威力・破壊力・火力も大事だが、冷静なキャラクター、喧嘩なれているキャラクターはこの点だけに目を奪われたりしない。使いこなすのが難しい武器、破壊力が強すぎる武器(ただの喧嘩なのに大仰すぎる武器を持ち出して、うっかり大怪我をさせてしまった……)もあるものなのだ。
また、手で振り回す武器はたいてい「重さは威力」だが、重すぎると持ち運びが大変だし、長い間振り回せなくて息が切れ、大きな隙を作ってしまう。賢いキャラクターは自分の筋力に見合った武器を持つものだ。これは長さでも同じようなことが言えるが、特に「長い武器は隠しようがない!」という問題もある。
そう、安全に持ち運べるかどうかは重要なポイントだ。現代日本ではあからさまな武器を手に持って街を歩いていたら、それだけで注目されるし、騒ぎになるし、警察官に気づかれたら職務質問を受ける。銃刀法や軽犯罪法に基づいて逮捕されることだってあるだろう。
人目につかない場所だとか、文明が崩壊した近未来だとか、そういう特殊事情がない限りは、刃物や銃器は隠すべきだ。小さなものなら鞄、大きなものなら楽器ケースや車のトランクなどに入れるといい。もちろん、荷物検査でその中身を見られたらアウトである。
加えて、入手の容易さも重要な要素だ。正式な武器は非常に効果が高いが、現代日本では簡単に手に入るものではない。身近な道具・物品を武器に転用できるなら便利だが、威力や耐久性に不安が残る。源平合戦の弁慶のように大量の武器を持ち込んで、折れたら次……というのもありかもしれない。
とりあえずこんな視点で各種の武器を見てみよう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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