A:流行を捕まえましょう!
ウェブ小説からのデビュー者、さらにはそこからのメディアミックス(漫画化、アニメ化)ももうすっかり定着した感がありますね。隔世の感があります。
そうなれば、「なろう」や「カクヨム」を経てデビューしたいと考える人が出てくるのは当たり前です。自然、こういう質問をされることもあります。
ただ、やっぱり私もウェブ小説は専門ではありませんし、ウェブ小説サイトの世界は非常に独特な雰囲気・風習がありますし、また非常に回転が早い世界でもありますので、そう簡単にアドバイスができないところがあります。
いまでも「なろう系」といえば異世界転生……と思っている人が多いと思いますが、実際にはそのあたりのブームは結構前に去ったようです(もちろんまだ転生ものを書く人は多いのですが)。流行りがどんどん切り替わるので、なんともいい難いところがあるわけで。
しかし、そんな事を言っているばかりではこの連載が成立しませんので、できる限りアドバイスを試みたく思います。
まずは、その回転の早い「流行り」を掴む試みはしっかり試してほしいところです。今はやっているのはどんなパターンでしょうか。それは、あなたの書きたいもの、書けるものと共存可能でしょうか、不可能でしょうか。ウェブ小説サイトは基本的にタグで検索できるようになっていて、読者はこのタグで、あるいはタグごとのランキングで調べてなにか面白い作品がないか探しています。流行りのタグ、あるいはタグの中の流行りを探すのは、評価されてデビューを目指そうとする人にとっては当然の戦法と言えます。
A:毎日更新しましょう!
もう一つ、注目されるために必須なのは、毎日更新することです。これをやらないと、どんなに面白い作品もなかなか注目されません。
もちろん、毎日(少しずつでも)書くのは大変です。ですから、ある程度書き溜めることをおすすめします。書き溜めたものを毎日、自動更新機能なども使って更新し続けるのがいいでしょう。
ただ、最初に全部書くのはあまり良くないかもしれません。読者の反応を見て直すのが難しくなる可能性があるからです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。