Q.推敲は何をどれだけやったら「完成」?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:自分で決める必要があります

推敲――見直しと手直しは底なし沼のようなものです。単純な誤字脱字チェックのようなものでも、やればやるほどミスが見つかって、「もっと確認しなければいけないんじゃないか」という気になります。
これは皆さんのような作家志望者やアマチュア作家だけでなく、私たちプロにとってもそうなのです。見直せば見直すほどミスは見つかり、どんどん不安になります。「ここにミスが有るということは、見落としたということだ。そうすると他にも……」という気になります。「害虫を一匹見たら三十匹」の気分で、大変心細くなるのですね。
作品の内容についてもそうです。一回目に見た時はすごく面白いと感じ、二回目は色々あらが見つかって、そうなるとほかも気になって……ということがよくよくあります。
このような底なし沼であがいた経験がある人は、「だいたいこのくらいやれば大丈夫」という目処があればぜひ知りたいはずです。
不安になる人とは正反対で、「なるべく見直す数を減らしたいから、最低限の回数を知りたい」という人もいるでしょう。横着者の思考ですが、効率化を目指すのはいいことです。
しかし残念ですが、この答えは完全にケースバイケースです。「だいたいこのくらい」の目処はなく、皆さんが自分で「うん、このくらいでいいだろう」と目星をつけるしかないのです。

A:プロの場合としましては……

参考のためにプロの場合の話をしますと、初校・再校といって、デザインまで終わった状態で二回チェックするのが業界標準になっているようです。ただ、これは「一回直した後、その直しが適切に反映されているかどうか確認する」という意味合いが強く、また初校より前に自分が書き終えたところでチェックしたり、編集者の意見をと入れて直したりしますから、「必ず二回直す」というものではありません。
プロの考え方でいいますと、「見直しのための期間をある程度最初からとっておいて、その締め切りが来たらある程度不安でも諦める」というのは役に立つかもしれません。プロは常に締切があって仕事をしていますから(この原稿だってそうなんですよ!)、どこかで手放す勇気が必要になります。皆さんもそんな気持ちを持ってみてはいかがでしょうか?

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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