Q.どうしても人の意見に振り回されてしまいます

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:自分を持ちましょう!

作品完成後の「見直し」において、「他人に読んでもらって意見を聞く」というのは可能なら非常に効果的なものの一つです。
どんなに客観的になろうと気を配っても、所詮は自分が書いたものです。完全に客観的にはなれません。そこで、他人の目が頼りになります。自分では気づかないミス、自分では思いもよらなかった発想を発見することができれば、作品のクオリティを大いに上げることができるはずです。
ただ、他人の意見をそのまま丸呑みするのはよくありません。それが正解であるとは限らないからです。また、複数人に意見を聞いたらそれぞれ全く違う答えが返ってきて、混乱してしまう可能性もあります。こんなふうにして振り回されてわけがわからなくなり、自分を見失った人も多いのではないでしょうか。
他人の意見を聞く時、いちばん大事なのは「まず自分を持つ」ことです。自分の好み、自分の書きたいもの、作品のテーマをしっかり保持した上で、さらなる上積みのために他者の意見を取り込むのです。

A:聞くべき意見とそうでない意見があります

もしあなたがプロの作家や編集者、講師など(たとえば私たち榎本事務所メンバーのような!)の意見を聞く機会があったら、それを素直に受け止めて「じゃあ自分はどうしたらいいだろうか」と考えるべきです。しかし、家族や友人などの意見は、そっくりそのまま受け止めてはいけません。
「面白い」「面白くない」というシンプルな意見さえ、そのまま飲み込むのは危険です。その人の偏った趣味から出た答えだったり、あるいはおべっかだったりする可能性があるからです。それはそれとして面白いと言われたら嬉しいので、その気持だけは素直に感じていいと思いますが。
更にそこから「こういうふうにしたほうがいい」「こういう展開はやめたほうがいい」などの積極的意見は警戒するべきです。適切な感想ではない可能性はもちろんのこと、その人が感じた感想と指摘が乖離している可能性さえあるからです。
ただ、「ストレスなく読める」「最後まで読める」あるいは逆などの感想は素直に受け取ったほうがいいでしょう。これはプロでも素人でも変わらず感じるもので、むしろ素人の方が素直に感じられる(プロは読み慣れているのでちょっとダメでもスイスイ読んでしまうことがあるので)ものだからです。最後まで読むのがきつかった、などと言われたらどうしてそうなったのかを考える必要があります。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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