Q.一気に書くのとじっくり書くの、どっちがいいですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:基本は勢いで!

結論から申し上げれば、なるべく「一気に書いてほしい」が私の心からの願いです。もちろん、「一睡もしないで長編を書き上げろ」なんて無茶なことをいいたいわけではないです。プロだって一つの作品を書き上げるのには一ヶ月~数ヶ月、場合によっては年単位でかかるわけですから。伝説的なエピソードでは数時間とか二日とかの話も聞いたことはありますが……。
それはともかく、皆さんが学業なり仕事なりをしながら創作を続ければ、やはりある程度の時間はかかってしまうでしょう。例えば長編一本について、毎日毎日暇を見つけながら書いても、なかなか簡単には仕上がらないはずです。
だからといって、「書ける時に少しずつ書いて、いつか完成したらいいなあ」「無理はしたくないなあ」というスタンスはおすすめできません。このスタンスですと作業期間は間違いなく伸びます。期間が伸びるとどうなるか。飽きるんです。作品への意欲が減退するんです。
私も作家志望者の方々をサポートするようになって随分経ちますが、多くの方がこのような状態に陥っているのをこの目で見てきました。プロット段階では面白いと思っていたストーリーがつまらなく見え、好きだったキャラクターへの興味を失い、執筆活動そのものに嫌気がさすパターンです。本当にたくさんいました。講師としても心の痛むことです。
どうしてそうなるのか。もちろんさまざまな理由が複合するのですが、大きかったのは「一つの作品に延々関わり続けるから」であり「完成の喜びを感じることができないから」です。完成するというのは精神面でも非常に大きいことですし、技術面でも反省を今後に活かす点で重要です。作品を完成に持っていけないとこれを味わうことができず、非常に苦しむことになるのです。
ですから、少々の無理をしてでも創作の時間を捻出し、なるべく勢いをもって一つの作品を完成させることをおすすめします。

A:事情に合わせなければいけない時も

……とはいったものの。皆さんそれぞれ事情はありますから「無理なものは無理」になってしまうのも、仕方がないことです。そんな場合はどうしましょうか。
いつでも再開できるようにプロットやメモをしっかり保存するのは基本中の基本です。その上でよくアドバイスするのは「書けるとこ、書きたいところから書く」です。前回中断・挫折したところから書くと結局大変で挫折しますから。とにかく書けることを書いて自分のやる気を加速させましょう。
短編連作スタイルを選択するのもおすすめです。短いスパンで「完成」を味わうことができますから、先に話したような欠点はかなりカバーできるはずです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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