Q.書いているうちにわけがわからなくなりました

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:プロット再確認で初心に戻りましょう!

どんなにプロットをしっかり作り込んでいても、実際の創作は荒野に分け入っていくようなものです。以前紹介したような「キャラクターの暴走」が発覚することもあれば、ストーリーや設定の穴、矛盾を見つけてしまうこともあります。テーマへの興味を失うこともあります。「あれ、私はそもそも何がしたかったんだっけ」となってしまうこともあります。
これらの結果として書き手が混乱すると、その先を書き続けるのはかなり難しくなってしまいます。こんな時、どうしたらいいのでしょうか?
第一にやることは、「プロットに戻る」ことです。自分がそもそも何をしたかったのか、どういう設定にしたのか、初心に立ち戻ることで冷静になれる可能性は非常に高いです。
この時、書き進めた結果として変えた内容、見えてきたことをきちんとプロットに書き込むことが大事です。「わかってるからわざわざ書かなくていいよ」ではもう一回混乱してしまうことでしょう。今現在のバージョンのプロットに更新することで、初めて自分が何をやるべきかが見えてくるのです。
そうでなくとも、ここまで自分が書いてきた内容を箇条書きなどの形で整理することには大きな意味があります。プロットの効用と一緒で、とにかくこんがらがっているものはわかりやすく、可視化することで解決の端緒が見えるものなのです。

A:あえて距離を置きましょう

プロットを再確認するのはいわば応急処置的な方法です。大抵はこれで解決するのですが、解決しないケースもないとはいいません……といいますか正直、結構あります。作品そのものに興味を失ってしまう、あるいはもっと別の作品に興味が移ってしまうケースです。こういう時、無理に作品にしがみついてもうまくいくことはあんまりないらしいことが、長年の経験でわかってきました。
そこで、「じゃあちょっと距離を置こうか」とアドバイスすることもあります。一日、一週間、一ヶ月と時間をあけることで改めて興味が復活したり、それまで見えていなかったことが見えるようになって、改めて書けるようになるわけです。
特に根を詰めすぎた結果として視界が狭まってしまっていたケースなら、少し作品から離れることでうまくいくことも多いようです。
ただ、距離を置いた結果として結局再開しないまま忘れて次へ、を繰り返すのはそれはそれでよくありません。このへんはまた別の機会に。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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