Q.主人公が傍観者になってしまいます

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:主人公を修正しましょう

主人公は物語の中心に立つべき存在です。特にライトノベルのようなエンターテインメント作品では、主人公が常にあるいはほとんどのシーンで登場し、彼の行動や発言によって物語が動く、というのが基本になるでしょう(作品によってさまざまなあり方はあります)。
そんな主人公が物語において傍観者になってしまう、彼あるいは彼女が「いてもいなくてもいい存在」になってしまうのはよくないことです。
これは「質問」という形ではあんまり受けない話です。しかし、学校などで作品を見させて頂く場合、こうなってしまうケースはしばしば見ます。そして私から確認すると「実はそうなんです、どうしたらいいかわからなくって」という話を聞きます。できればプロットの段階でどうにかしておきたいのですが、「キャラクターの暴走」と同じ話で、書いてみないとわからない話ってどうしてもあるもの。どうしたらいいでしょうか。
第一に考えるべきは、主人公をちゃんと活躍させる、物語の中心に置くことです。これが実現できれば、本来のプロットやストーリー、テーマを生かして執筆を続けられるので、真っ先に模索しなければなりません。
この場合、主人公の能力や立場よりはどちらかというと「動機」「目的」に問題があることが多いようです。主人公が問題に向かって積極的に行動するにふさわしい動機を与えてあげるとうまくいくでしょう。

A:主人公を変更しましょう

ところが、この方法がうまく行かないことがあります。どんなにプロットとにらめっこして主人公を活躍させようとしても、どうにもしっくりこないのです。何が問題なのでしょうか。どうすればいいのでしょうか。
多くのケースでは、「どうもこの主人公はこの物語の中心としてふさわしくないのではないか?」「どうも書き手である私は主人公が好きじゃないんじゃないか?」と無意識のうちになってしまっているようです。この問題を自覚できている人も、できていない人もいました。テンプレート的な主人公(あるいはヒロイン)を採用したケースが特に多いようです。
この場合はもう仕方がないので、主人公を変えましょう。どうも私の経験では、こちらの手段を使ったほうが治すべき場所が少ない(結局、別のキャラクターが実質的主人公になってしまっているため)ことさえ珍しくありません。プロットの確認と修正は必須ですが、作品をより良くするためにはためらってはいけません。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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