Q.物語をどう始めたらいいのかわかりません!

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:何でもいいから書いてみましょう

物語のはじめ方で苦しむ人はたくさんいます。悩んで悩んで、何度も書き直して先に進めない人も数多く見てきました。これについてのアドバイスは二つ。
一つは、「いいからとにかく書けることを書きましょう!」です。ストーリーのために必要だと思えること、読者に伝えたいこと、わかってほしいこと。思いつくところから一つ一つ書いていきましょう。
このQ&Aの別項目では「王国の歴史とか神話とかそういうものを延々書くのはダメ」と書いた気もしますが、書きたかったら書いてしまっていいです。大事なのは、筆を止めないことです。
「最高の始め方を」などとこだわっていると、書けなくなってしまいます。何も書けずうずくまっていると、書くことそのものが嫌になってしまいがちです。そんなふうに悩むくらいなら、とりあえず書きましょう!
書いているうちに、キャラクターが理解できています。世界がわかっていきます。自分がどんな話を書きたかったのか、書いているうちにわかるケースさえあります。
そのうえで、ある程度書き進めた、あるいは全部書いた上で、最初に戻ってくればいいのです。きっと、冷静な目で見ると、「ああ、これはよくないなあ」となるはずです。そうなったら、がらっと書き換えてしまいましょう。

A:「一番いいシーン」から始めましょう

そうは言いつつ、よい「はじまり」を書きたいというのは当然のことです。最初の一行、そして最初の数ページは、読者がその作品を読むかどうかを決める重要なポイントですから。また、最終的に書き直すにしても、いい始まりのパターンを知らなければどうにもならない、ともいえます。
では、具体的にどうしたらいいのでしょうか。根本的には「なるべくいいシーンを冒頭に持っていきましょう」という考え方がおすすめできます。
何がいいシーンか、は作品によって大きく異なります。バトルものなら主人公が戦っているところ。ミステリーなら殺人シーン。青春ものなら感情が高ぶるようなシーン。読者の興味を引く、「いいシーン」を頭に持ってくると、その後の展開が気になって読んでもらうことができるでしょう。
もちろん、「いいシーンを百パーセント楽しんでもらうためには前置きが必要だ」という考え方も理解できます。しかし、エンタメでは、そのような前置きは作品の面白さを阻害することがあります。あえて前置きを削り、魅力的な、勢いのある、インパクトのある展開から始めてみませんか?

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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