Q.世界設定ってどこから手をつければいいですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:取っ掛かりを捕まえましょう!

世界設定作り。好きな人はすごく好きで、嫌いな人はすごく嫌い……非常に極端な要素ですよね。好きな人は、好きなように作って貰えれば良いと思います。問題は、嫌いな人のほう。何をどうすればよいかわからなくて、途方に暮れてしまっている人が少なからずいるんじゃないでしょうか。
これは創作全般に言える話につながってくるんですが、「手のつけようがない時は、手がつけやすいところからやってみる」のがよいのです。なにか禅問答みたいになってしまいますが、自分では手がつけられないと思っていても実際の所本当に「どうしようもない!」ということはあまりなく、相手が大きすぎて的確な判断ができなくなっていたり、自分を見失って勝手に絶望してしまっているだけのことが多いのです。そんな時も、「まずはこういうことをやればいい」ということを知っていれば、適切な行動が取れますし、やっているうちに自分が見えてきます。
前置きが長くなりました。世界設定においては具体的にどうしたらいいのでしょうか。それは、「物語の中で必要な要素から考えてみよう」ということになります。あなたの物語は、どんな物語でしょうか。そのためには、どんな世界が必要で、あるいは適しているでしょうか。そこから考えればいいのです。
たとえば、主人公が圧倒的な「敵」と戦う物語では、敵が必要です。それはどんな敵でしょうか。王国、帝国、宗教教団、商業ギルドのような権力組織でしょうか。武術や魔術、超能力のような人間離れした能力を持つ個人あるいは集団でしょうか。都市の外を縄張りにする野獣や怪物、魔獣のような文字通りの外敵でしょうか。
主人公はどうしてこれらの敵と戦うことになるのでしょうか。敵を憎んで追っているのか、逆になにかの事情で狙われているのか、あくまで仕事で戦っているのか、それとも別の事情があるのか。その事情を考えていけば、逆説的に「主人公の敵になっているのはどんな存在なのか」すなわち「そんな存在がある(いる)この世界はどんな世界なのか」を考えていくことになります。そう、これが「世界づくりの取っ掛かり」です。

A:ベースを決めましょう

ただ、取っ掛かりは捕まえたけれども、世界設定というものが大きすぎてそこからどうしたらいいかわからないという人もいるはずです。その場合は「ベース(基盤)をいじる」というスタイルがおすすめです。
たとえば「中世ヨーロッパ」とか「戦国時代日本」とか「ゲームのRPGでよくある感じ」とか、ベースになるイメージを決めます。そこに、「今回作りたい世界には魔法がいる(いらない)」「巨大な帝国がいる(いらない)」「モンスターがいる(いらない)」などと、物語上必要な(取っ掛かりの)要素を入れ込んでいきます。その要素と関係のあることはどんどん変わっていきますし、逆に言えば関係のないことはベースのままでいいわけです。そう考えると気持ちが楽になってきませんか? 世界設定づくりはあまり肩に力を入れず、気になるところから決めて行ったほうがうまくいくことが多いようです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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