A:まずは魅力を「盛り」ましょう
カッコいいって、すごく大事なことですよね。
カッコいいキャラクターの活躍に魅了されたこそライトノベルを読むのが好きになった、カッコいいキャラクターを自由に描きたいからこそライトノベルを書き始めた、という人は多いハズ。
しかし、それではカッコいいとはどういうものか(そういえば有名なアニメにそんなキャッチフレーズがありましたね)。
こう問われると困ってしまう人も多いのではないでしょうか。実際、カッコいい(あるいは「すごい」「魅力的だ」とも言い換えられるでしょうか)というのはかなり多様な概念なので、一口で説明するのは困難です。それでも、創作においては非常に重要な概念なので、紐解いてみましょう。
カッコいい、というのは多くの場合プラス要素をキャラクターに「盛る」ことで成立します。
プラス要素にはどんな物があるでしょうか。例えば能力(何ができるか? 身体能力、知識や知恵、魔法や超能力など)、あるいは精神性(気の強さ、優しさ、包容力など)、もしくは社会性(友達の数、家の財産など)。大きく分けるとこの3つに分類できるようです。
あなたは、この中のどれをもったキャラクターをカッコいいと思いますか? まずはそこから始めましょう。
A:あえてマイナスにも目を向けましょう
ここまではプラス要素を盛ってカッコいいキャラクターを作る方法を紹介しました。
しかし、カッコよさは必ずしもプラスだけでは成立しません。マイナス要素にも目を配ってこそ、満足の行く、そして多くの人に伝わるカッコよさが生まれるのです。
たとえば、そのキャラクターがピンチに陥る状況を想像してみましょう。数多の敵に囲まれた時、人質を取られた時、弱点を突かれた時、そのキャラクターはどんなふうに対応するのでしょうか。
マイナス的状況に置かれた時にするふるまいは、そのキャラクターの本質が現れ、また危機からの逆転はカッコよさを演出するのに大いに役立ちます。また、弱点や欠点を持っていることはカッコよさと裏腹の薄っぺらさをフォローする役目も果たしますので、設定するといいでしょう。
ここでどんな状況にでもピンチにならない、負けない、弱音も吐かない……と考えている人もいるかも知れません。
しかし、それはあまりおすすめしません。あまりにも強すぎる、無敵のキャラクターは、現実離れした存在として見えてしまうことが多いからです。これはカッコいいと言う印象を読者に与えることはできません。
【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。