Q.プロットは作らなきゃいけませんか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:全体のバランスをとるのに便利です

これ、実は結構悩む問いかけです。「ケースバイケース」と言うと卑怯ですが、「あなたにとって似合ったやり方を選びましょう」が答えということになってしまいます。しかし正直なところ、プロットはしっかり作った方が楽な人、作り込んでしまうとかえって苦しむ人がいるんです。

まずはプロット作りが向いている人の話からしましょう。これは、「その場その場で考え込むのが苦手で、あらかじめ決めておいた方が話が作りやすい、文書が書きやすい」人向けです。
プロットが作り込んであると、「この後どうするんだっけ」「このキャラクターはこういうときにどうするかな」などということをいちいち考えなくて大丈夫になります。また、その場その場で決めていくと「あれ、前に作った設定と矛盾するなあ」と困ってしまうこともよくあるのですが、そのような問題からも無縁です。

また、ストーリー部分を「このシーンではこのキャラがこういうことをする」「このシーンではこういうことがある」レベルまで作り込んでおくと、書くときにとにかく悩まなくて良い、という利点があります。
あらかじめ決まっていることを埋めていけばいいので気分が楽です。それでいて、あらかじめストーリーを考えられるので「どんでん返しの大伏線」や「テーマに沿ったキャラクター配置」のような大仕掛けを物語に盛り込むのにも向いていますね。

総じて、「お話を考えるのは楽しいけれど文章を書くのは苦痛」というタイプは、プロットをしっかり書いた方が向いているように思います。

A:自由に書いていいですよ!

一方、プロットをしっかり作り込むのが向いていないのはどんな人でしょうか。これは「書いていくうちにキャラクターやストーリーへの理解が進み、物語が広がっていくタイプの人」です。
このタイプの人の多くは、その場その場で物語や設定を考えていくことに喜びを感じます。いわば、博士の世界を切り開いていくのが大好きなわけで、あらかじめ決めた展開に従って文字を埋めていくのは非常な苦痛です。ワクワクしないことなんてやりたくない、というタイプですね。

専門学校などで教えていくうちに、このタイプの作家志望者が結構いることに私も気づきました。プロットをしっかり書くことで矛盾を防ぎ、全体のバランスが整えられるにしても、そのせいでせっかくの伸び代を消してしまうようでは意味がありません。
かといって、全くプロット白紙で行き当たりばったりでは、「あれ、私はそもそも何が書きたかったんだろう」「これでいいのかな?」と道に迷ってしまいがち。そうでなくともプロ作家はプロット段階で編集者と相談することが多いので、ある程度はかけた方がいいでしょう。

そこで、プロットが縛りになってしまうタイプの人は、「最低限のプロット」を作ることをお勧めします。
作品にとって最も重要なテーマ、大雑把な世界設定、思いつく限りのキャラクター設定。そして前半のある程度の展開と、中盤・後半の大体のイメージ。このくらいは考えておいてもそうそう縛りにはならないハスです。その上で。「途中で気に食わなかったら変える」とあらかじめ決めておくのです。
さて、皆さんはどっちのタイプですか?

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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