A:アンテナを高くしましょう
もちろん、いろいろありますよ。
大前提になるのは、作品を書き続けることです。毎日三十分や一時間でも、あるいは土日にまとめて二時間や三時間でもいいのですが、定期的に書き続ける習慣を養ってほしいです。
ただ、ここで聞かれているのは多分「創作以外に」ということですよね。いくつか、内容を絞ってお答えします。
一つは、「アンテナを高くすること」です。もうちょっと具体的に申し上げますと、視野を広げる、感受性を高める、好奇心を持つ、ということになるでしょうか。
良い作品を書くためには、良いアイディアを出す必要があります。良いアイディアを出すためには、良いインプットをしなければなりません。では、良いインプットとはなんでしょうか? それは多様な経験をする、ということです。
いろいろなタイプの人と出会っていると、いろいろなキャラクターをかきわけようとするときの引き出しが豊かになります。面白いこと、悲しいこと、痛ましいこと、感動することなどいろいろな出来事を知っていると、ストーリーを考えるときにも絶対的に有利です。
他にも「いま何が流行っているか」「若者はどういう風にものを考えるのか」「おじさんっぽい振る舞いとはどういうものか」などなどを知っておくと創作に役立つのは、わかりますよね。
これら幅広いインプットを得るためには、普段から常に好奇心を持って行動しなければなりません。面倒臭い、新しいことなんかやりたくない、ではいけません。普段から気をつけなければならないのです。
A:メモを取る癖をつけましょう
せっかくアンテナを高くしても、それを片っ端から忘れては意味がありません。そこで、普段から何か感じることがあったら「メモを取る」癖をつけてください。
書くことはなんでもいいです。面白いと思ったこと、起こったことや悲しいこと、作品に使えそうだと思ったこと、気に入ったセリフ、そのほか諸々。
メモ帳に書くのでもいいですし、スマホのメモ機能を使うのでも構いません。理想的なのは手書きメモに書き溜め、週に一度くらい表計算ソフトで整理し、いざ確認したくなったときにさっと検索したり、カテゴリごとに確認できるようにすることですが、そこまで頑張らなくても構いません。
大事なのは、頭の中に不割った浮かんだアイディアや自分の感覚・感情を、一度メモするという行動によって強化することです。これだけでグッと忘れにくく、また他のアイディアに派生しやすくなるのです。
また、メモする習慣は創作の習慣にもつながりやすくなります。そのため、日頃からメモを取るようにして欲しいのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。