Q.小説読まないとダメですか?苦手なんですが……

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A1:読みましょう。絶対に役に立ちます

はっきり申し上げると「読んでください」です。正直な話になりますが。

「小説を読む」ことは、創作力をアップさせるのに非常に重要な意味があります。実際、私も専門学校での授業では、
「小説の力はたくさん読んで、たくさん書いて、しっかり添削してもらうことでつきます」
と説明してきました。この順番も大事です。

では、「読む」ことでいったいどんな力がつくのでしょうか。
まず、たくさんの作品に触れることで、たくさんのアイディアがあなたの中にインプットされます。魅力的なストーリーとはどういうものか? 惚れてしまいそうなキャラクターの要素とは?ワクワクする世界設定とはどんなものか?
もちろん、作品を読む以外にもこれらのアイディアを得ることはできます。本連載だってそうです。でもやっぱり、自分の目でさまざまな作品に触れるのが一番いいんです。それは他人に教えられるよりも「自分のやり方」「自分のアイディア」になりやすいものなのです。

これは特に文章力・文法において大きな意味を持ちます。読みやすい文章、適切な言葉の選択、会話文と地の文のバランスなど、いわゆる「文章力」を自然に身につけるには、たくさん読むのが第一です。
もちろん自分で書かないと身につかないところはあるんですが、まずは読んで無意識のうちにバランスやタイミングを頭に刷り込むのがおすすめです。

A2:逆に考えてみませんか?

……ただ、ここまでの話にはちょっと付け加えるべき情報があります。これはあくまで「プロ作家を目指すなら」の話なんです。

もしあなたがプロ作家になろうと思っているのでなければ、必ずしも小説を読む必要はないと思います。自分が楽しく書ければいい」「友達に読んでもらう程度でいい」のであれば、わざわざ辛い気持ちで小説を読むこともありません。
むしろ、既存の作品を読まないことで独自の味が出ることもあるでしょう。それはプロを目指す上では欠点ですが、アマチュアには味わいなのです。

あるいは、別のパターンもあるかもしれません。創作力をつけるために小説をたくさん読んでいたら、ある日気付くんです。「あ、おれ実は書くより読むほうが好きだな」と。
それはそれでいいことだと思います。趣味というのはそういうものですから。
そうして書くことから遠ざかってしまったとしても、小説を読むことが楽しい趣味として残るなら何の問題もありません。そのうち、「今なら凄い作品が書ける」「今読んでいるこの作品より上のものが書ける」と思ったら、ぜひ創作の世界に戻ってきてください。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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