一本を書ききること・原稿を諦める勇気

榎本秋のクリエイト忘備録

小説家志望にまず必要なのは、本になるための長編を書ききることです。400字詰め原稿用紙で300枚程度になります。
その次に、できれば2ヶ月くらいで300枚が書けるようになるとよいです。

よくあるのが書くのを途中で止めてしまうこと。
私はよほどのケースを除いて、書き始めたら最後まで書くべきだと思っています。書き終わらない癖がついてしまうからです。

・なんかキャラが違う
・文章がしっくりこない
・面白くならない気がする
・途中で止まって先に進めなくなった
・プロットの齟齬が見つかって書けなくなった
・新しい話を思い付いて今の作品への情熱を失った


などなどの理由で書けなくなることが多いように感じています。

しかし、そういうときでも、矛盾があっても最後まで書いてみてください。
書けないシーンは箇条書きでよいです。
書き上がったあとに再度見直したら書けるようになるかもしれないですし、どうしても書けなかったらなぜなのかを考えて反省材料にしてください。そして次に繋げればいいのです。

一方で、書き上がった原稿に執着しすぎないのも大事です。
新人賞受賞後でもプロになった後でも、編集さんとお話して大幅な修正になったり、ボツになることはよくあります。
その時に気にしすぎでないで次の原稿に向かうことがとても大切です。
その作品について落ち込んだり悩んでいたりする間にも、他の作家は作品を書いていきます。時間も編集さんも待ってはくれません。
次のチャンスを掴むためにも早く切り替えられるようになるといいでしょう。

また、

・作品に思い入れがあり、編集さんの指摘の方向では直したくない
・編集さんの指摘の方向性はわかるが、現時点では自分には直せない

ということもあるかと思います。
そういうときは思い切って、原稿を保留にして新しい原稿に取り掛かるのもありです。
その保留した原稿にはいずれまたチャンスがあるかもしれませんので。
その際は編集さんとよく話し合った上で合意を取ってくださいね。

榎本秋

榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。

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