作品を書いていると時折あるのが、自分が面白いと思うことと読者さんの面白いことに乖離があるパターンです。
といっても、大抵はここには必ずズレがあります。
作家を目指すからには凡庸な面白さだけを書くわけにはいきません。他の作家との差別化のためにもオリジナルの面白さを模索します。
それがだんだんと読者が思う面白さからズレていってしまうのです。極端なことを言うと「やりすぎ」みたいなことになります。
ある意味オリジナルの面白さを突き詰めるとそれが作家性になり、読者さんはすぐにはその面白さがわからなくても「なにかすごそう!」と思って、ファンになってくれるかもしれません。
一方で、「読者さんが思う面白さ」にばかり目を向けてしまうと、作家性がなくなって読者に媚びるだけの作品になってしまうこともあります。
この
作家が思う面白さ
読者が思う面白さ
を両立させる必要があります。
これは自分の考えを大事にしつつ、世間はどのようなこと・ものを面白がっているかをよく観察してみてください。
両者をうまく作品に入れ込み、多くの読者に安心した面白さを提供する一方で「ここは新鮮だな。面白いな」と感じさせられるようになるとよいでしょう。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。