現代ものを書く際、世の中にはどんな職業があって、またその職業に就くためにはどんな資格が必要かを知っていた方がリアリティが増します。
中には珍しい職業もあり、どんなことをしているのか、どうやったらなれるのか想像もつかなかったりするものです。
珍しくないとしても、例えばサラリーマン。一言で言ってしまえばそれまでですが、業務内容は人によって変わります。営業、総務、経理などなど。業種によっても変化があるでしょう。
知っているとなぜリアリティが増すのかというと、仕事の描写向上ももちろんですが、生活サイクルが見えてきます。
朝何時に起きて何時に出勤するのか、何時に帰ってくるのか、昼は社内でとるのか、社外でクライアントと食事をするのか、家と職場は近い方がいいのか、などといった具合です。
仕事をしているキャラクターの物語を描くならこの辺りも把握する必要があります。
今は職業案内の本もたくさん出ているので、その本でどんな職業があり、どんな資格や学歴が必要かを調べてみてください。
なるにはBOOKS、ヨーロッパ風ファンタジー世界を書きたいなら『中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク』
という本も役に立ちます。
いま、キャラクター文芸では職業ものが流行っていて、弊社でも『社内保育士はじめました』などのシリーズを展開しています。光文社キャラクター文庫さんが始動する時に色々な職業を解説した本を読みました。
また、私が時代小説を書く時には江戸時代の幕府の役職を調べ、どんな役職だとどんな事件と絡めてられて面白いかなとも考えていました。
職業や役目、主人公が何に悩んでいて、どんな夢があるのか……ということから物語を作ってみるのも面白いと思います。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。