異世界や超能力などの「あなたの作品世界独特の要素」を作り執筆に入る際、押さえたいポイントがあります。
できれば冒頭でその要素を分かりやすく提示してください。それがあなたの作品の魅力になり、世界観として読者に伝わっていくからです。
例を1つ出します。
ドラえもんのタケコプターが現在の我々の世界で実用化されたら、普段の景色は何が変わると思いますか?
・信号が空中にもある
・マンション高層階でも必ず鍵を締め、カーテンを閉める
今だと他に建物がなかったり飛行経路がなければカーテンを開けていたり鍵閉めなくても大丈夫ですが、タケコプターがあるとそうはいきません。
・タケコプターを使う時、女性はズボンが多くなる。
・高圧電流の電線が空中からなくなるか、高圧電流危険の表示がされる。
というように、タケコプター1つでこれだけ景色が変わります。
この景色を描写することで、読者にはタケコプターがある生活とない生活の差がはっきり分かるわけです。
これは一般にあまり馴染みがない職業を扱う場合にも同じことが言えます。
はじめの10Pくらいでその職業の特徴がわかるエピソードがあると読者は作品に入りやすいですし、魅力を感じます。
ということで、面白い要素を思いついたら作品制作の際はぜひ初めに登場させてください。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。