学び方について

榎本秋のクリエイト忘備録

小説家になるためにはどのような勉強すればいいのか。
大きく分けると

 1)創作指南本で学ぶ
 2)ひたすら小説を読む
 3)誰かに習う


の3つになると思います。

1)できれば3冊ほど、別の作家さんの本を読むと良いかと思います。その中で共通して書いていることをまず頑張ってみると良いでしょう。
作家さんによって方法論は違うので、一作家の言うことを信じすぎないほうがいいと思います。
また、昨今はWEB上でもたくさんの情報を手に入れることができます。こちらも1つのサイトに傾倒せず、いくつか見たうえで共通している事項は実践するといいでしょう。

2)ぜひとも実践していただきたいことです。

 ・いわゆる名作
 ・メディアミックスの原作
 ・受賞作


などを読むと良いと思います。
最近、小説を読まない小説家志望の方が増えました。
しかし、読まないと小説ならではのお約束の面白さや読みやすさなどがわかりません。アニメとゲームでは感じる面白さが違うのと同じことです。
できれば月に5冊は読んでほしいですし(シリーズものは合わせて1冊とカウントします)、本当なら30冊ぐらい読んでほしいです。また、小説以外の新書や雑学本なども勉強になるので、ぜひ手に取ってみてください。

3)昔はお弟子さんになったり、有名な作家さんの勉強会に出る方法などがあったようですが、現在だと

  A)大学の創作系学科に行く
  B)専門学校の創作系学科にいく
  C)カルチャースクールの小説講座を受講する


の3つがポピュラーかと思います。それ以外に、作家さんや編集さんがWEB上で通信添削をされていたり、動画配信をされていたりもしますね。
Bの専門学校はさらに専門士の資格が取れて学割の定期も使える学校法人と、そうではない学校に分かれます。どちらがいいかはカリキュラムや学校のサポート体制、また学費や奨学金との兼ね合いによります。
大学と専門学校の違いは学費を4年出せるか、2年出せるか。また、幅広く勉強するか、2年で集中するかという部分になると思います。
3つの中でどれが良いのか、というのは実はありません。みなさんの経済状況や、それまでの読書経験などによって変わると思っています。
ちなみに、学費や生活費に心配がないなら、まずは文学系以外の大学に4年間通う。その後2年制の専門学校か通信添削で勉強するのが個人的にはおすすめです。
また、大学時代は小説を書くことよりも部活やサークル、色々な授業を受けることなどに費やしてほしいです。その時・その場所でしか得られない経験も多いからです。
自分で学費や生活費を充当して学ぶ場合は、学びながら学費も稼ぐと結局学ぶことが中途半端になります。できれば学費と生活費を稼ぎ終わってから学校にいくと良いと思います。

学校にいくことはマストではありません。ただ、学校に行くことで

 ・同じ小説家志望のライバルと知り合える
 ・業界にコネができる
 ・小説家になるための基本的な知識が手に入る


などのメリットがあります。

私自身はゲーム系の学校法人ではない学校に行きましたが、講師の先生との出会いがとてもかけがえないもので、学費分の価値があると思いました。
ただし小説(特にエンタメやライトノベル、児童文庫)は新人賞の受賞が大事なので、長編を書かないといけません。
学校に行けばなにかの仕事に就けるわけではないのです。校正など、出版業界の職に就けるようにの授業を行っている学校もありますが、やはり主眼は小説家です。
ですので、小説の学校に通うには覚悟と本気度が大事かなと思います。

そういう意味で、まずカルチャースクールに通ってみるのはおすすめです。
あとは動画や通信添削を受けてみるのもよいかと。

個人的には、指導者がいない創作サークル(同人)やWEB上での感想のやり取りはやり方が非常に難しいと思っています。
厳しく言えばいいものでも、褒めちぎればいいものでもないので。馴れ合いになっても良くありません。自分が何を目的にそこに参加するかを明確にすると良いでしょう。
カルチャースクールの選び方も同じで、自分が新人賞を取るためによい先生と出会えるといいなと思います。

小説家になるのは本当に大変です。二年ほどですぐデビューできる人も、10年努力する人もいます。
大事なのは諦めないことと自分を甘やかさないことです。

榎本秋

榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。

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