選考の仕組みと原稿の使い回しについて

榎本秋のクリエイト忘備録

新人賞によって、選考の仕組みも評価の仕方も様々です。
基本的には

・一次選考
・二次選考
・最終選考


という段階を経ることが多いとおもいます。

また、最近は、応募者全員に評価シートを戻すような賞も増えてきました。

新人賞は、同じ原稿を送ったからといって同じ結果になるとは限りません。
選考を担当する人によってどうしても変わってきてしまうからです。

そのために、一つの原稿を複数の選考者が読む賞もあります。

一方、残念ながら応募原稿の大多数は原稿の形でなかったり、読みづらかったりするものが多いのも事実です。
そういった原稿を担当者二人と読むと時間もお金もかかってしまいます。

そこで、一次選考の前に予備選考をもうけて明らかに次の選考に上げるには厳しい原稿を省く過程を設けている場合もあります。

・カテゴリエラー
・小説になってない

などをこの段階で選別することができます。

さて、選考について都市伝説で、あらすじしか読まない。最初の数ページしか読まれないということを聞いたり見たりすると思います。
実際、あらすじと最初の数ページでだいたいの実力はわかりますが、現在の選考システムでは、最後まで読むことが推奨されていたり、あらすじがなくて、選考担当者があらすじをつくることが必要な場合もあり、きちんと読まれています。

ただ、そういう工夫を新人賞の運営側が行ってもどうしてもこぼれてしまう作品はあります。
また、私の経験としてそのときいた編集部としては、違うなと思った原稿がジャンルが近い別の編集部でロングセラーになったこともあります。

繰り返しますが、人間が選ぶのでどうしても機械のように正確ではないですし、そもそも、作品を数値で評価できるかというとそういうものでもないと思います。

なので、私は自分が関わった新人賞選考では、1000本以上応募があってすべてを丁寧に見れない場合でも、一時落選のものは、梗概と一枚目は必ず観るようにしたり、二次選考以降を複数担当制にしたりと工夫をしてきました。

新人賞を出版社が行うのは新しい才能と出会いたいからで、落とすために行っているのではありません。
新人賞の運営には、賞金以外にも多数のお金がかかります。それでも必要だから行っているわけです。

とまぁ。新人賞の運営側でも少しでも皆さんの才能と出会いたいと思っていて、今回の作品では、受賞は難しい場合でも才能を感じた場合は、連絡をすることがあります。

最近、選考シートが戻ってくる賞が多いのもその当該の賞にまた応募してほしいという気持ちも大きいのかなと思っています。

そんな感じで丁寧に才能を探してもらえているという状況なので、私は落選原稿の再利用はおすすめしていません。
デビューが決まったときのためにストックしておけばいいと思うからです。デビューしたら次から次へと書いていかないといけないわけで、デビュー前の段階から原稿がたくさんあるのはとてもいい事なのです。実際、私が、編集者をしていたときはデビューする方の今までの応募原稿などもよく見せてもらっていました。

榎本秋

榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ
本を多数出版する。

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