
小説を書く、というのは時間のかかる作業です。
プロ作家、それも専業作家ならそんなに長い時間はかけられません。
たとえば数週間、あるいは一ヶ月程度で長編一冊分くらいの勢いで書いていかないと、
専業のプロとして食べていくのは難しいことになってしまいます。
とはいえ、アマチュアだったり、兼業作家だったりでは、このスピードはむずかしいです。
仕事をしながら、あるいは学校に行きながらでは、
なかなか原稿にばかり集中するわけにはいかなくなります。
それはやっぱり仕方のないことです。
生活を維持するために、メインでやらなければいけないことをやりつつ、
サブで創作をしていくというのは大事なことです。
そうした生活の中で物語のためのヒントを得ることだってありますからね。
ただ、それはそれとして。少しずつ少しずつやるよりは、
なるべく短時間で書くことをお勧めします。
というのも、長い期間一つの作品に取り掛かると、悪い影響が出ることがあるのです。
最初はすごく思い入れがあったはずのキャラクターやストーリーに
あらがみえるようになったり、興味が持てなくなったり、
場合によっては嫌いになったりすることさえあります。
(個人差のある話ですが、プロ志望者にはしばしば見られるケースです)
これはすごく不幸なことなので、できれば避けたい話です。
そのため、なるべく一気に、勢いに乗って作品を仕上げたいものなのです。
細かい修正や描写の追加は後でいくらでもできます。
それよりも、完成にたどり着くことが大事。飽きたり、嫌気がさす前に。
そう考えて欲しいのです。
【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。