読者の目を思い出そう!

ワンポイント

皆さんのほとんどは書き手であると同時に読み手でもあるでしょう。
というよりも、読み手として楽しみ、自分でも書きたいと思ったからこそ、書き手になりたいと思われたのではないでしょうか。

ところが、実際に作品作りに取り掛かってみると、この「読み手」の視点がポロっと落ちてしまうものなのです。
ついつい書き手視点が優先になると、さてどんなことが起きてしまうのでしょうか。

一番よくあるのは、描写や説明が雑になるパターンです。
読み手だったら説明不足が気になるところ、書き手の視点だと
「いや、別にいいんじゃない?」
と雑になってしまうわけですね。

他にもセリフだけが続いているところ、読者視点ならもうちょっと描写が欲しいところが
(あるいはその逆でもうちょっとセリフが欲しいところ)
書き手視点だとそこまで気が使えない、ということも珍しくありません。

あとはやっぱり、作品の方向性でしょうか。
自分のこだわり(キャラとか展開とか)にこだわりすぎて、
たくさんの人が喜んでくれないお話になってしまうなんてこともよく見られます。

もちろん、こだわりは大事です。書き手としての視点が重要です。
しかし、読み手の気持ちも忘れてはならないのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

タイトルとURLをコピーしました