説明ゼリフをどうするか?

ワンポイント

「このセリフ、とりあえず書いてみたけど不自然じゃないかな」……多くの書き手が悩む問題でしょう。
気になって気になって何度も書き直しているうちにその日作業に費やす予定の時間が過ぎてしまったなんて話も聞きます。

特にありがちなのが説明ゼリフです。
作中の状況を説明しようとするあまり、
「その世界に普通生きている人ならこんな風には喋らないよね」
ということになってしまうケースのことです。

たとえば、現代日本を生きる私たちは、他の人と話す時に
「ここは東京です」とは言わないですよね。それは当たり前のことだからです。
でも、読者がそれを知らない時に、どんな風に伝えればいいのか。悩むこと多いですよね。

作者は事情を知っていても、読者は知りません。ですから仕方がないしむしろ必要な心配りではあるのですが、
それでもやっぱり不自然さは読者が作品に没入するのに邪魔になります。
どうにか減らしたいところです。

一つの手は、地の文でまとめてしまうことです。これなら不自然ではありませんが、
淡々としすぎて、ただの説明になるのは小説としていいことではありません。

説明してもおかしくないキャラクターや状況を用意するのはいい手です。
記憶喪失者や外国あるいは異世界からやってきた人には、当たり前のことであっても説明するしかないですよね。
そこで主人公をそのようなポジション(読者と同程度しか事情を知らない人)に設定することで、問題を解決できるわけです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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