
小説のいいところは、ディティールや背景事情を
望むならどこまでも書き込めることです。
漫画やアニメではこうはいきません。
一方、徹底的に省略できるのも小説のいいところ。
その日食べたご飯の内容を細かく書き込むことも、
一方で「ご飯を食べながら話した」などと省略することもできます。
ディティールはなるべく省略して、バトルやキャラの魅力にページを割きたい、
というのもそれはそれで決して間違いとは言えない、一つの手法です。
テーマを強調するのには効果的ですからね。
ただ、もしあなたがキャラクターの存在感を強めたい、
血の通った物語を描きたいと思うなら、
少々面倒くさくともディティール書きこむことも検討してください。
手抜き感を出すと良くないというのもあるのですが、
それ以上に食事、服装、街並み、生活などがきっちり書き込むと、
「ああこの世界で人は生きているのだな」「ハリボテではないのだな」
という印象を読者に与えることができるからです。
【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。