一人称のポイント

ワンポイント

一人称は「僕が」「私が」と一人称で物語を語るスタイルです。
魅力は、主人公の心の声をダイレクトに書けること。
つまり、読者と主人公の距離を小さくできることです。

そのため、盛り上がりも大きいのですけれど、
その分「知らないことは書けない」「いないところは書けない」のが弱点。

これをフォローするためにたまに採用される手段が、
「語り手を次々と変えていく」スタイルです。
上遠野浩平や成田良悟などが得意とする手法ですね。

これ、うまく書くとものすごく盛り上がるんです。
一人称の利点である緊迫感や共感を活かしつつ、視点の狭さもカバーできますから。
結果として群像劇的な盛り上がりが生まれ、お話のスケールも大きくなります。

……ただこれ、すごく難しいんですよね。
色々なキャラクターの視点で書くということは、「それぞれがいまどうなっているか」
「何を目的としているのか」「お話の中でどう変わるか」を管理しなければなりません。

また、ひとかたまりで行動しているチームの中で視点を変えてもあんまり面白くありません
(裏切りや真相などがあれば話は別ですが)
そうしますと、一つの事態の中で動く様々な人々の動きを書く必要が出てきますので、
その点でも非常に大変です。

それでもやっぱり成功すれば魅力的なスタイル。挑戦してみても面白いでしょう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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