二人称を使いこなせ

ワンポイント

一風変わった作品で読者の興味を引く、という手段もあります。
具体的にどんな選択肢があるでしょうか。ここでは「二人称」を紹介します。

一人称は「私」や「僕」。
転じて、語り手が「私が部屋に入ると?」という風に一人称で綴る小説のこと。
三人称は「彼」や「彼女」。
転じて、「彼は部屋の隅でうずくまり?」という風に三人称で綴る小説のこと。

では、二人称とは?
そう、「君」や「あなた」。
転じて、「君がある日目覚めてみると?」という風に二人称で語る小説のことです。

あまり見たことがないはずです。
だから多くの人の意表はつけるでしょうが、使いこなせなければ意味がありません。どうしましょうか。

例えば、手紙やメッセージの集まりで小説にするのはどうでしょう。
誰かがこの物語の主人公に「君は」「君は」とメッセージを送り続けるのです。
読み手自身が主人公になった気持ちが味わえるでしょう。

もしくは、主人公の頭の中に住む何かや、取り憑いた幽霊、手にした武器などが延々語り続ける形式もありかもしれません。
全てが終わった後、「語り」に乗って物語を綴る場合にも二人称になりますね。

どちらにせよ大事なのは、二人称を使って何かのトラックを仕込んでおくことです。
そこでなんの意味も持たせなければ、二人称を使う意味はかなり薄くなります。
単に読者にとって想像しにくい物語になるだけです。
特別なことをやるときには、それだけハードルが上がるということをお忘れなく。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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