特別な設定は活かす

ワンポイント

魔法がある、怪物がいる、神々がいる、東の果てに変わった文化を持った国がある、ファンタジー世界なのに実はSF的な技術がある、などなど。
世界設定をするとき、なんらかの特別な要素を入れるのは個性化のための良い手法です。
でも、注意すべきことが一つ。

あなたが自分で入れ込んだその印象的な要素、きっちり使いましょう。

魔法のある世界では、作中で起きる事件やその解決は魔法があるからこそのものにしましょう。
設定上怪物がたくさんいるのに、物語の中には全然出てこないというのはやめましょう。
……これ、結構大事なポイントなんです。

特に、プロットをかっちり作り込まず、ノリとライブ感で世界を作っていくタイプの人にありがちなトラブルです。
その時その時の思いつきで設定を作ったり、あるいは深く考えずに重要な設定を追加したりした後、結局使いきれずに放置する。

これの何がまずいかといいますと、読者が失望し、違和感を覚えてしまうことなんです。
目立つ要素が出てくれば期待します。期待が裏切られれば失望します。当然のことです。
そのような要素は物語の中でしっかり使いこなすべきですし、そうでなければそもそもその要素は世界設定に加えるべきではありません。

また、この問題は必ずしも世界設定のことだけではありません。
名前があり、エピソードのある、主要キャラクター。あるいは彼や彼女を掘り下げるエピソード。
そのような要素も、本当に必要か? 物語の中で意味のあるものになっているか?
作品の完成度を上げたいなら、この視点は必須です。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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