創作基礎14:少女小説って?

創作基礎

少女小説とは

少女小説。文字通り「(主に)少女が読む小説」のことですね。
ライトノベルの一部と考えられることもあります(その場合は少女系ライトノベルなんていいますね)が、
最近は読者層があまりかぶらないので別物と見る人が多いようです。
なので、ここでは別物として紹介させていただきます。

少女小説は古い歴史を持つジャンルです。その始まりは一九〇〇年頃とされ、
以後現在に至るまで連綿と多くの読者を獲得し、多数の人気作品が出ています。

特に八十年代、氷室冴子や新井素子、久美沙織と言った人気作家たちが爆発的なブームを作り出しました。
現在も講談社X文庫ホワイトハート、一迅社文庫アイリス、角川ビーンズ文庫などのレーベルが活動中です。

これは少女小説だけでなく少女漫画にも見られるとされる特徴なのですが、
「女の子向けブームはしばらく経ってから男の子向けブームとして現れる」といいます。
ライトノベルのヒット作の中にも、少女小説の雰囲気を感じさせるものがしばしばあります
(竹宮ゆゆこ『とらどら!』あたりにそんな匂いを感じます)
男の子向け作品を書きたい人も、少女小説を読んで損はありませんよ。

「キャラ」と「キラキラ」

少女小説にはどんな特徴、要素があるのでしょうか。
以前は学園、青春、恋愛……というテーマが多かったように思います。
ただ、最近はこれらのテーマはライトノベルやライト文芸、一般文芸にシフトした印象です。

では何が多いかというと、異世界(ファンタジックな要素が歩かないかはそれぞれ)で
主人公(ヒロイン)が活躍する話がよく見られるようです。
健気な主人公、彼女に行為を示したりあるいは当初対立しているが後に急接近する異性、
そして主人公たちを追い詰めようとする巨大な陰謀やライバル――というのがベタなパターンといえましょう。

異性の魅力はもちろん重要ですが、主人公のキャラクター性も大事です。
いい目にあっても読者に嫌われず、応援したくなるようなキャラ性がほしいところです。
また、女性読者はキャラ単体だけでなく各キャラの関係性に注目するというのもよく言われる話です。
主人公と異性、異性とライバル、主人公とライバルの関係がお互いの魅力を引き出すような設定をしたいところです。

また、少女小説には非常に重要なものがあります。あるんですが、これは非常に抽象的な表現しかできないものです。
仮に「キラキラ」と表現しましょうか。他にも色々ないい方があろうかと思います。
少女のときめき、不可思議な世界へのわくわく、異性のかっこよさ。そうしたものをすべてひっくるめた概念です。

これを言葉で説明するのは非常に困難です。人により解釈も違います。
この「キラキラ」についてはみなさん自身が自分の内面から、また少女小説を読んだ感覚から導き出す必要があるのです。

それが少女小説の難しさ、面白さの一つといえるでしょうね。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

タイトルとURLをコピーしました